広島県議会 2023-03-01
2023-03-01 令和4年度予算特別委員会(第5日) 本文
このため、冒頭において、若者の転出超過が日本一多い県を目指すべきと申し上げたのであり、若年層の転出超過が進む中においても、グローバル教育は続けていくべきであると考えます。そこで、知事御自身の経験も踏まえ、多様性に触れる経験の重要性とグローバル教育を積極的に進める狙いについて、
知事の御所見をお伺いします。
4:
◯答弁(
知事) 変化が激しく、不確実性、不透明性が高まる一方の世界にあり、グローバルな課題だけではなく、地域の課題についても、その時々の情勢の中で、最適な解を見いだして解決していくためには、自ら考えて学び続けるとともに、様々な価値観を持つ多様な人々と協働し、新たな価値を創出していくことが極めて重要であると、県政運営に当たる中で、日々痛感しているところです。
このため、本県の子供たちが、できるだけ早い時期に、異なる文化や価値観に出会う機会を持てるよう、異文化間協働活動を推進するとともに、広島叡智学園や叡啓大学において、多様性を尊重し、他者と協働する力の育成に取り組んでおります。
今後も、広島県で育ち学んだ若者が、広い視野とグローバルな感覚を持って広島県、日本、あるいは世界をフィールドに、よりよい未来を創造するつくり手として活躍できるよう取組を進めてまいります。
5:
◯要望・
質疑(
出原副
委員長) 御答弁のとおり、地域の課題解決が不透明な時代で非常に難しい中でも、グローバルな感覚を養いながら地域の課題にも取り組んでいく人材の教育を引き続き、積極的に進めていただきたいと思います。
その中で、昨年度の文教委員会での、叡智学園において、県外生徒の募集をなぜするのかという委員からの質問に対する教育委員会の答弁を読ませていただきます。県外あるいは異なる文化や価値観を持った生徒と、切磋琢磨しながら学びを深め、そこで協働する力を育むというのが一つの目的であることから、多様性のある学習環境を提供することとしており、県外の生徒も募集をしているという答弁でありました。これは逆に言えば、広島県で育った若い方々が県外に出て力をつける必要があるということだと思います。
少し個人的な話になりますけれども、私の娘が、国から平成27年にスーパーグローバルハイスクールに指定された学校に通っていました。瀬戸内海から世界へ、世界から備後へ、グローバルイノベーションと合意形成を柱にという構想の下、教育を受けていました。その後、県外の大学に進学し、この4月には、東京の商社へ就職することになりました。海外志向が非常に強く、高校の教育に大変影響を受けたという話をしていました。また、新聞、テレビ等で、広島県が転出超過ワースト1位2年連続と、何かしら否定的な報道をされている中で、娘から、転出超過の1人が私だよねという、少し後ろめたいような
発言もありました。
やはり、グローバルな人材をこれから育成していく中で、転出超過の1人となる若者が出ていく中でもしっかりと広島県がサポートして、後押しする環境をつくっていただきたいと思います。後ほど質問しますが、5、10、20年後に、Uターンや副業で関わってくれる人たちが多い県を目指すべきと思います。しかしながら、一方で、本県の人口減少に地域差が生じていることは問題と考えています。
住民基本台帳人口移動報告における令和4年の県内各市町の状況を見ますと、転入超過となっている市町は、廿日市の238人、海田町の133人、熊野町の105人、大崎上島町の27人の4市町であり、そのほかの19市町は転出超過となっています。そのうち、最大の転出超過となったのは、人口最多の広島市の2,522人であり、次いで2位は福山市で2,404人、3位は日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所呉地区の閉鎖といった、特殊な要因のある呉市で1,554人、4位は尾道市で777人、5位は府中市で621人となっており、ワースト5市町中3市町が東部地域に集中しています。昨年6月定例会においても言及しましたが、県東部における人口減少は、ほかの地域と比較しても、急速に進行しているように思います。こうした状況が続けば、生産年齢人口の減少をはじめ、経済活動の縮小、活力の低下、ひいては生活交通といった日常生活を支える機能低下などにも影響が出ることを危惧しております。やはり広島県全体の均衡ある発展という意味では、人口減少の地域差が拡大することは問題と考えています。
そこで、県内における転出超過に地域差が生じている現状について、どのように課題認識されているのか、
経営戦略審議官の御所見をお伺いします。
6:
◯答弁(
経営戦略審議官) 平成27年国勢調査を基準とした国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、御指摘のとおり、県内市町において人口減少の進行に地域差が生じております。
こうした流れに歯止めをかけ、本県の活力を持続的に維持、向上していくためには、県全体の発展を牽引する都市の機能集積と中山間地域の豊かな資源を積極的に活用して、都市と自然が程よく融合した各市町の強みを生かした地域づくりを進め、県外からの人や企業などを呼び込み、県外への人口流出を抑制することが重要であると考えております。
7:
◯要望・
質疑(
出原副
委員長) 地域差の課題は認識されているということですが、備後地域の4市2町の県議会議員で構成される備後地域振興協議会でも、人口減少に地域差があるという課題を解決していこうという動きがあります。引き続きそういった課題を共有させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に、転出、転入に関する取組についてお伺いします。
初めに、若年者に対する県内就職促進についてお伺いします。
知事は記者会見において県内外の若い人たちに早い段階から、県内企業の魅力をしっかり伝えて県内への就職意識を醸成していくこと、デジタル系の企業あるいは本社研究開発機能を県内に誘致していくことにより、若者にとって魅力のある職場や職を拡大していくことを積極的に行っていきたいと説明されました。また、来年度の予算案を見ますと、若年者就職による社会減対策事業として昨年度と同規模の予算が組まれ、県内大学生等の地元就職などに取り組むように見受けられます。
そこで、若年者に対する県内就職促進について、来年度、具体的にどのように取り組むのか、
商工労働局長にお伺いします。
8:
◯答弁(
商工労働局長) 若年者の県内就職の促進に向けては、県内外の若者に、県内企業に関する情報を継続的に発信し、早い段階から県内就職への意識醸成を図ることや学生が魅力を感じる働く場を創出していくことが重要であると考えております。
このため、来年度の具体的な取組としては、県内において、高校及び大学と連携して出前講座を拡大実施するほか、県内企業に就職した若手社員の就職活動や働き方の経験をインタビューとして広く配信し、県内企業の魅力がより多くの学生等に届くように取り組むなど、県内学生等の県内就職の促進に努めてまいります。
また、県外の学生に向けましては、就職支援協定を締結した大学とも連携して、業界研究会の拡大実施や、SNS等を活用し、就職に至るまで継続して有益な情報を届けることなどにより、県外からの転入促進にも、より一層取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、今後、大きな成長が見込まれる新産業の育成や、デジタル系企業を中心とした多様な企業の誘致のほか、リスキリングや働きやすく働きがいのある職場づくりの推進などにより、若者にとっても魅力的な働く場の創出に取り組んでまいります。
あわせて、デジタル人材を中心とした若者の県内への定着を強力に推進するため、県内大学等の情報系学部、学科の学生100名を対象に県内就職を返還免除の要件とする奨学金を本年4月から導入するとともに、広島大学情報科学部の定員70名増員を、県としても支援し、実現を図ったところです。
これらの取組に加え、魅力的な都市環境やにぎわいづくり、子育てしやすい環境づくりなど、関係部局の様々な施策とも連携を図り、若者から就職時に選ばれる広島県づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
9:
◯要望・
質疑(
出原副
委員長) 昨日、宮崎副
委員長からの
質疑で、私も初めて知りましたが、専門学校の生徒について広島県内での就職が7割を占めるということであり、支援の要望がありました。ぜひ、若者に対するめり張りのある予算組みをしていただくことを私からも要望します。
次に、広島県に戻りやすい環境づくりについてお伺いします。
私は県外に出ていった方々にとって広島県に戻りやすい環境づくり、例えば、副業や転職、移住、Uターン、関係人口を増やす取組などに対して重点的に予算をつけるべきと考えます。先ほど湯崎知事、玉井副
知事、森元警察本部長を例に挙げましたが、このほか、例えば、広島に関わりのあるキリンビール株式会社の山田精二氏が広島県のチーフ・ブランディング・オフィサーに就任したり、カルビー株式会社の山邊昌太郎氏が広島県観光連盟の事業本部長に就任しています。こうした事例も非常によい例だと考えます。県外で様々な分野で活躍されている広島出身の方々がおられます。
こうした方々がもっと広島に戻りやすい、関わりやすい環境づくりが重要と思います。そのためには様々な分野において県外で活躍している人のリストアップが必要ではないでしょうか。例えば、営業コンプライアンス、財務、広報、デザインにたけているとか、会社における社員の評価基準といった管理系の分野や、目に見えて改革できるもの、例えば、社内規程や働き方改革、会社のコーポレート、イメージ戦略などの分野については、副業人材を活用しやすいと思いますので、こういった分野における人材のリストアップは役立つと思います。
また、私は県外で働いておられる同年代の人たちと会話する中で、親の介護やお墓の管理のため、月に数回、広島に戻ってくるという方々も増えてきていると感じています。他方で、そうした方々の親の世代からは、行く行くは広島に帰って来てくれると思っていたが、本人の配偶者や子供の事情などもあり、もう帰ってくることは諦めているという声もよく聞きます。こうした状況を踏まえると、若いときに県外に出て、そこで力をつけた人たちを経済的、精神的に支えることが必要ではないかと思います。私も民間企業の立場から、転職、起業、移住に取り組んできましたが、副業したいという人材は県外にたくさんいる一方で、いきなり広島に移住することは、それぞれの家庭の事情もあり、相当ハードルが高いと認識しています。
このため、移住という形は最終段階であると捉えた上で、それに至るまでのステップを段階的に踏んでいくことが大事であると思います。まずは、関係人口を増やしていく観点から副業支援といった手のつけやすい部分から取り組み、徐々に広島に関わっていただきながら、将来的に転職や移住といった形で広島県に戻りやすい環境をつくっていくことが有効かと考えます。
そこで、副業の活用といった方法もある中で、今後、どのように関係人口を増やし、移住につなげていくのか、
地域政策局長にお伺いします。
10:
◯答弁(
地域政策局長) 東京の移住相談窓口を訪れる相談者の多くは、何度か本県に往来しながら、人や仕事、地域活動など、地域とのつながりをつくった上で実際の移住を実現しており、関係人口の拡大に向けた取組は、移住を促進する上での土壌となるものと考えております。
これまで、ワーケーションにより地域での暮らしを体験していただく中で、関係人口から移住につなげる移住ツアー、中山間地域の課題解決プランの作成を通じて、地域貢献に高い意欲を持つ首都圏の若者と本県の中山間地域の地域づくりの実践者とを結びつけるひろしま里山ウエーブ拡大プロジェクト、県内の中小企業等に対し、首都圏の経験豊富なプロフェッショナル人材の活用を促進し、地方への人材還流、集積へとつなげる広島県プロフェッショナル人材戦略拠点などの取組を通じて、関係人口の拡大に取り組んでまいりました。
また、副業による関係人口の増加については、中山間地域における中小企業が、経営課題の解決に取り組んでいくため、副業、兼業などによる外部人材の活用を促進しております。
今後とも、こうした取組を通じて関係人口を拡大し、県内の地域への愛着を育んだ方に対し、市町職員や地域のキーパーソン等と連携して、広島らしいライフスタイルを実現していただけるよう支援することで、本県への移住を促進してまいります。
11:
◯要望・
質疑(
出原副
委員長) ぜひ副業による外部人材の促進は、引き続きやっていただきたいと思います。
3年間、私自身、転職、移住に向けた取組の中で、ウェブ面談を約1,500人以上の広島県外の方々としましたけれども、縁のない広島への移住、転職は相当ハードルが高いという認識を持っています。やはり、先ほどおっしゃったとおり、関係人口から徐々に副業、移住に進めていくことが必要だと思います。
また、広島県出身者には、副業したい人材がたくさんいるけれども、なかなか受け入れる企業の土壌が整っていないということが感じられます。広島県出身者というだけで、やはり親近感があり、例えば、広島県出身者で実家があれば、宿泊代がかからないというメリットもありますので、その辺りも含め、広島県出身者をリストアップしながら、県主導で各市町にそういった試みを広げていただくことを要望します。
次に、広島県に戻りやすい環境づくりの推進体制についてお伺いします。
広島県では、東京圏等からの定住交流を促進させることを目的として、平成27年度から定住につなげる仕組みづくりに関すること、新卒大学生のUIターンの促進に関すること、空き家を活用した定住の促進に関することなどに取り組む、定住・交流促進プロジェクト・チームを設置されており、地域力創造課、雇用労働政策課、住宅課の3課において、組織横断的な連携が行われていることと思います。
しかしながら、このプロジェクト・チームでは副業促進や関係人口の増加といった分野は扱っておらず、そうした分野の担当部署との連携が十分に行われているのか、疑問に感じています。また福山市でも同様に、副業を扱う部署と転職移住を扱う部署は異なっていると聞いています。先ほど申し上げましたとおり副業や転職移住といった取組は、ターゲッティングや現場の実態把握など様々な情報を共有しながら、一体的に効果的な施策を立案していくことが求められていると思います。
今後、広島県に戻りやすい環境づくりを効果的に進めていくためには、定住・交流促進プロジェクト・チームに副業促進や関係人口拡大を所管する部署も、新たに追加し、しっかりと横串を刺しながら取り組んでいくことが必要であると考えますが、
地域政策局長の御所見をお伺いします。
12:
◯答弁(
地域政策局長) 定住・交流促進プロジェクト・チームにおける施策、事業の推進に当たり、設置運営要綱でも定められているように、構成員以外から意見を聞き、各部局と相互に協力し合い、連携しつつ、取り組んでいるところです。
具体的には、ワーケーションによる体験を通じた移住ツアーや、リモートワークなど広島での多様な働き方の可能性を伝える移住フェアの開催などを、商工労働局などの関係課と連携して実施し、広島県に戻りやすい環境づくりにも資する取組を進めてきたところです。
引き続き、副業促進や関係人口拡大など広島県に戻りやすい環境づくりも含め、テーマに応じて、様々な関係部局と積極的に連携し、東京圏等からの移住の促進につながるよう、しっかりと取り組んでまいります。
13:
◯要望・
質疑(
出原副
委員長) ぜひ、各部署が連携して横断的に横串を刺せるように、取組を進めていただきたいと思います。
最後に、広島県に戻りやすい環境づくりに向けた職員一人一人の意識向上についてお伺いします。
広島県に戻りやすい環境づくりを効果的に進めていくには、推進体制の確保だけではなく、様々な担当部署における職員一人一人が、副業や転職移住、Uターン、観光など、俯瞰的な視点を持ちながら、最終的に移住、定住につなげていくことを意識し、広島県に興味を持っていただくことが大事だと思っています。丁寧できめ細かな対応により、こうした方々に、次の新たな行動を促していくことが重要であると考えます。
そこで、広島県に戻りやすい環境づくりの実現に向けて、職員一人一人がアンテナを高め、俯瞰的な視点から取組を進める意識を高めていく必要があると考えますが、
総務局長の御所見をお伺いします。
14:
◯答弁(
総務局長) 地域の課題が多様化、複雑化する中で、適切に対処していくためには、高い専門能力や知識を有することに加え、様々な政策領域を俯瞰し、課題の設定から解決まで行うことができるよう、職員の育成に取り組む必要があると認識しております。
このため、若手職員の時期からの部局横断的な人事異動や経営企画組織への配置、視野を広げるための民間企業や国、市町等への職員派遣、マネジメントや政策形成能力に関する研修などを通じ、職員一人一人がアンテナを高くし、幅広い視野を持って課題の設定、解決に当たることができるよう、取り組んでいるところです。
引き続き、こうした取組を通じて、移住促進など部局横断的な取組が求められる課題に対しても、的確かつ果敢に挑戦できるよう職員の育成を図ってまいります。
15:
◯意見(
出原副
委員長) なかなかこの課題は解決が難しい中で、やはり横串を刺すには、アンテナを高く持つことが必要であると思っています。
今日、転出超過についていろいろな角度から質問させていただきましたけれども、最終的には、広島に関わる人をどれだけ大事にしていくか、数字にこだわる必要はないと思っています。引き続き、転出超過という問題はありますが、課題解決に向けて皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました。
(
尾熊委員)
16:
◯質疑(
尾熊委員) 公明党の尾熊良一です。それでは月曜日に続き、質問させていただきます。
まず、農林水産業施策に関してお伺いします。
ロシアによるウクライナ侵攻、また、近年の地球温暖化による天候不順の影響により、昨年から食料品等の価格が高騰しており、食料や飼料の多くを輸入に依存する我が国の食料リスクが改めて浮き彫りとなりました。国内では、今後は需要増が見込まれる麦や大豆、飼料作物の国内生産拡大へ、減反で米作を行っていない水田を、ほかの作物の転作へ活用を促す取組が必要であるとも言われており、今こそ、日本の農業政策を抜本的に見直すべき時期だと指摘もあります。
本県では、2025広島県農林水産業アクションプログラムを策定し、生産性の高い持続可能な農林水産業の確立を目指しているところですが、中山間地域の基幹産業となる農業を主力産業として持続的に発展させるためにも、食料自給率向上を目指す必要があると考えています。また、今後需要の拡大する可能性の高い農作物へ転換することで、経営力の高い担い手の育成にもつながることから、生産量の大幅な増産支援や、生産性向上の支援を県としても大きく推進していくチャンスであると考えています。
さらに、これからの国内の食料安定供給にとどまらず、農作物を世界へ輸出拡大できるチャンスがあるなど将来性があり、夢のある農業を目指す広島県の農林水産業政策をぜひ推進していただきたいと思います。
しかし、本県の農林水産関係の予算を見ると、この10年間、一般会計当初予算の歳出合計に対する農林水産業費の比率は、2.6%から多くても2.9%と、ほとんど横ばいです。令和5年度予算においても、2.6%、297億円となっており、岡山県は4.7%、380億円、山口県は4.3%、344億円となっている状況です。事業者からは、県は本当に、農林水産業に力を入れる気があるのかという声も伺います。
今後、食料自給率を上げ、日本や世界でも安定供給していくことや、森林林業施策の推進により、地球温暖化から自然環境を守る上で、これからの農林水産業の一層の発展と、その担い手確保が大変重要です。
そこで、広島県として、近年叫ばれる食料危機や地球環境を守る視点を踏まえた農林水産業の発展に向け、農林水産業施策の方向性の再検討や取組の強化も必要ではないかと思いますが、令和5年度当初予算に関わる農林水産業の事業内容と予算規模について、どのように考えておられるのか、また、農林水産業施策を一層推進するためにどのような展望をお持ちなのか、併せて
知事の御所見をお伺いします。
17:
◯答弁(
知事) 令和5年度当初予算案における農林水産業費については、2025広島県農林水産業アクションプログラムに基づき、生産性の向上や経営力の強化、付加価値の向上に取り組んでいくため、デジタル技術を活用したスマート農林水産業の推進、経営力の高い企業経営体の育成、経営体の稼ぐ力を高めるための販売力の強化とブランド化の推進など、成果志向の視点を踏まえて必要な経費を盛り込んだところです。
この当初予算に加え、物価高騰への対応など、農林漁業者へ切れ目のない支援を行うため、国の経済対策を活用した補正予算も一体的に編成したところであり、前年度と比較して約30億円、約9%の増額となっております。
今後の展望については、おおむね30年後のあるべき姿として、最先端技術の活用による競争力の高い農林水産業が展開されるとともに、広島は、おいしさの宝庫といった認知の獲得など、ひろしまブランドの価値が向上している状態を目指しており、これに加えて、国際情勢を踏まえた食料安全保障の強化や、気候変動による生育環境の変化、激甚化、頻発化する災害についても考慮しつつ、推進してまいりたいと考えております。
引き続き、アクションプログラムの推進を基本とし、社会環境の変化にも適応しながら生産活動を行うことができる、強くしなやかな経営への転換により、持続性の高い本県農林水産業を確立してまいりたいと考えております。
18:
◯要望・
質疑(
尾熊委員) 食料自給率を上げることは、事業者を守るだけでなく、県民の食や命を守ることにつながります。さらに、収益性のよい農作物など、海外輸出に向けて、生産量を拡大できるよう、県として、やる気を見せる、今後の農林水産関係の予算拡充をお願いしたいと思います。
次に、福祉避難所等での要支援者への対応についてお伺いします。
先月、福山市内の身体障害者団体の役員の方より、地域の防災訓練に参加したいが、要支援者登録しても、防災訓練には地域から声がかからない、また、地域の小中学校などが避難所に指定されていることは知っているが、避難所生活が長引く場合は、障害者に優しい環境として、福祉避難所も利用できるはずだが、どこの福祉避難所を利用すればよいか、何も情報提供されていないとの声が上がったところです。
県では、昨年から、避難所開設・運営マニュアルの作成等、モデル事業を実施し、マニュアル作成の手順、ポイントなどを示した、作成ガイドラインを策定するなど、市町の取組を支援していますが、障害者や要支援者の対応を考慮したマニュアルづくりが重要と考えています。防災訓練や自主防災組織による避難の呼びかけ体制づくりについては、危機管理監が担当していますが、避難所開設・運営マニュアルについては、健康福祉局が担当され、市町の組織体制も同じく、危機管理部署と福祉部署で役割が異なっている場合があります。
そこで、福祉避難所は誰が指定し、開設、受入れの決定を行うのか、また、福祉避難所の周知徹底は、誰がどのような配慮をもって行うのか、
健康福祉局長へお伺いします。また、自主防災組織などに対し、障害者や要支援者への対応について配慮すべき点などを避難所開設・運営マニュアル作成時に、どのようにアドバイスを行っていくのか、併せて
健康福祉局長にお伺いします。
19:
◯答弁(
健康福祉局長) 福祉避難所の指定や開設の決定、要配慮者の搬送、受入れの決定、また平時からの避難先の周知については、各市町が実施することとなっており、福祉避難所を必要とする方と一般の避難者が混乱することなく、適切に避難できるよう配慮しているところです。
また、各地域の避難所の運営に当たり、避難所において、障害者などの要支援者に配慮するとともに、福祉避難所と連携した対応も重要であると考えております。
このため、昨年度策定した避難所開設・運営マニュアルにおいて、避難所内での要支援者の把握及び各運営班での共有、利用スペースの確保及び環境整備、緊急対応時における医療や介護等の専門職との連携、福祉避難所での受入れ検討などについて、具体的な取組を記載しております。
こうした取組について、地域の防災活動において主要な役割を果たす自主防災組織などに対しても周知いただくよう、市町の健康福祉部門のみならず、危機管理部門に対しても働きかけてまいりたいと考えております。
20:
◯要望・
質疑(
尾熊委員) 障害者や要支援者の中には、町内会に加入していない方、また地域の方と接点があまりない方もおられます。また、災害時の避難所運営については、地域自主防災組織だけでなく、市町も経験したことがない地域が多くあります。要支援者への対応も含め、市町への避難所開設・運営マニュアル作成時の指導、アドバイスをしっかり行っていただくことを要望します。
次に、新病院の機能と役割についてお伺いします。
皆さん、脳脊髄液減少症という病気を御存じでしょうか。子供から大人まで誰が発症してもおかしくない病気です。学校現場での体育や部活中のスポーツ事故、また、交通事故などで体へ衝撃を受けた場合に、脳を包んでいる脳脊髄液が外部に漏れ、頭痛や頸部痛などの症状が発生する疾患です。ひどくなると、目まいや頭痛で歩行すら困難になり、日常生活及び会社や学校に行くことも困難になり、退職に追い込まれたり、不登校になる子供もいると言われています。この脳脊髄液減少症は、まだ十分に理解されておらず、事故後に、整形外科で診察を受けても、むち打ち症などと診断されるケースも多くあります。的確な診察と治療のできる脳外科医までたどり着くのに1年以上かかる場合もあり、悩み続けている方も多く、県内で潜在的に多くの患者が存在すると言われています。
また、髄液が漏れる穴を防ぐ専門的な治療であり、保険適用となっている、いわゆるブラッドパッチ療法ができる脳外科医専門医が県内にほとんどいないのが現状です。さらに、脳脊髄液減少症の診察や治療は報酬点数が低く、民間病院では、病院の経営方針として、専門医を受け入れ難いとも伺っています。このような患者を救うのは、本来、公立病院が行うべきと私は考えます。
そこで、県では、新病院の基本構想として、高度医療の拠点機能、また、医療人材の確保を掲げられていますので、脳脊髄液減少症などの診察や治療のできる高度医療技術の専門的機能を新病院に持たせるべきと考えますが、
健康福祉局長の御所見をお伺いします。
21:
◯答弁(
健康福祉局長) 高度医療・人材育成拠点構想に基づき新病院が目指している高度医療とは、他の医療機関では体制整備が難しい最新の医療技術、例えば、がんの原因となる遺伝子の変異に基づいて診断、治療を行うがんゲノム医療、県内初の小児集中治療室PICUの整備による集中治療が必要な子供の治療や看護ケアなどを大学と連携して備えることで、患者の皆様にとって安全かつ身体に負担の少ない医療を提供することを想定しているところです。
一方、難治性や稀少性の高い疾患については、大学病院をはじめ、治療可能な医療機関による医療の提供を想定しておりますが、新病院の具体的な医療機能については、大学病院等と連携して策定を進めている基本計画において、検討してまいります。
22:
◯要望・
質疑(
尾熊委員) 県内外の多くの患者が困っています。県東部にある、脳脊髄液減少症の子供から大人まで、ブラッドパッチ治療ができる数少ない専門の脳外科医のところには、広島市内の大きな病院だけでなく、県外からも、病院から紹介された患者が殺到し、治療待ちとお聞きしています。多くの患者を救うためにも、ぜひ、県の新病院において、この専門治療科の機能の整備、そして、専門医の育成を強くお願いしておきます。
次に、物価高騰に関わる中小企業等への支援についてお伺いします。
県内の中小企業や小規模事業者を訪問すると、多くの経営者から、燃料や電気代の高騰、そして、資材の価格高騰によって、会社の利益が出にくくなっている、また、商品や工事代などの価格を上げようとしても、見積り段階で客先から断られ、価格転嫁もできないため、社員の賃金を上げることもできず、人手不足と原材料高騰の中で、大きな仕事は取れず、このままでは経営にも大きく影響すると悲痛な声を伺います。特に小規模事業者は、経営基盤が弱く、今後の事業継続に直結するため、深刻であると考えています。
県では、このたびの当初予算や補正予算の中で、物価高騰対策や生産性向上として、小規模事業者等DX推進支援事業や中小企業イノベーション促進支援事業、借換えも可能な新たな融資制度である伴走支援型特別資金の創設なども提案されています。しかしながら、中小企業や小規模事業者の声を聞くと、生産性向上や省エネに効果的な機械や設備投資の必要性は認識されていても、実際にどのような設備にしたらよいか、DX導入を何から始めればよいか分からないという状況です。
そこで、物価高騰で困っている中小企業や小規模事業者に対し、生産性向上のための設備投資やDX導入、販路拡大における企業の経営課題を調査し、課題解決の提案を積極的に行う、アウトリーチ型の支援を行ってはどうかと思いますが、
商工労働局長にお伺いします。
23:
◯答弁(
商工労働局長) 物価高騰など、厳しい経営環境にある中小企業、小規模事業者の経営課題の解決に当たり、支援者が事業者と共に課題を把握し、一体となって伴走支援する、いわゆるアウトリーチの手法が効果的であると考えております。そのため、これまで、商工会等の経営指導員による伴走支援や、マーケティングから市場獲得まで、専門家による一貫したサポートを行うチーム型支援等においても、個別訪問による課題の把握や解決手法の提案など、アウトリーチの視点からの支援に取り組んでまいりました。
さらに、令和2年度から行ってきた、プッシュ型による新事業展開等支援事業においては、アフターコロナを見据えた新事業展開や業態転換に向けて、経営者との対話を通じて課題を掘り下げ、ニーズに合わせたコンサルティング支援を行う取組を進めてきたところです。
来年度に向けては、金融機関による継続的な伴走支援を通じて行う事業者への金融支援や、専門家と経営指導員等の伴走支援による事業者へのDXの推進などに新たに取り組むこととしており、こうしたアウトリーチの視点を取り入れた取組をより一層推進することにより、中小企業、小規模事業者の経営課題の効果的な解決を図ってまいります。
24:
◯要望・
質疑(
尾熊委員) 国においても価格転嫁ができるように、今、議論されているところですが、特に、中小企業、小規模事業者にとってみれば、やはりなかなか価格転嫁ができないのも事実です。そういった面では市場開拓、生産性向上、人材不足など、多くの経営課題を持たれた中小企業、小規模事業者の課題の解決につながるように、事業者に寄り添った適切なアドバイスや提案を行う県の支援をぜひお願いしたいと思います。
続いて、中小企業等への給付金制度についてお伺いします。
小規模事業者からは、月々の燃料代や電気代、原材料費の高騰分相当額を、実質的に補助してもらえるような即効性のある経済支援をしてもらいたいとの声も伺っています。岩手県、栃木県、静岡県、香川県では、原材料等価格高騰や原油、電気、ガスなどの燃料高騰対策として、例えば中小企業や個人事業主を対象に、1~3年前の仕入れ額から、価格上昇分や売上高の減少率に応じて、10~20万円を上限に支給する支援金事業などを既に実施されているところです。
そこで、物価高騰対策として、原材料だけではなく、事業活動に必要な原油、電気、ガス等も対象にした価格高騰分の一部を補助する、即効性のある給付金制度を検討してはどうかと考えますが、
商工労働局長にお伺いします。
25:
◯答弁(
商工労働局長) 原油価格・物価高騰などにより、価格転嫁の困難な県内中小企業は依然として、厳しい経営環境に置かれていると認識しております。このため、原油価格・物価高騰などへの対策としては、中小企業に対する省エネルギー機器の導入支援、運輸事業者に対する環境対応車やエコタイヤの導入支援による省エネルギーの促進など、今後とも高騰が続くリスクのあるエネルギー価格に左右されにくい、持続可能な経営の実現に向けた支援策を講じているところです。
一方で、地域の実情に応じたきめ細かい原油価格・物価高騰等対策を実施する市町への補助制度を今年度の9月補正で創設したところであり、10市町がこの制度を活用して新たに給付金制度を設け、事業者支援を行っているところです。
今後とも、急激な社会経済環境の変化に対応できるよう、県経済の動向の把握に努め、事業者に寄り添った諸施策を機動的に展開してまいりたいと考えております。
26:
◯要望(
尾熊委員) 先ほど言われました、運送業界等のエコタイヤの導入支援、また、バス、タクシーの公共交通事業者に対する財政的な支援は、非常に事業者からは喜ばれておりますが、まだまだそれ以外の事業者、製造業においても、様々な厳しい声を伺っております。特に3年にも及ぶコロナ禍で、長期間にわたり、利用客の減少や消費低迷の影響を受けた多くの中小企業、小規模事業者が、今度は、水光熱費や原材料高騰で困っておられます。県による生産性向上の支援も当然必要ですが、投資費用や時間もかかります。
ぜひとも、この即効性のある給付金制度と併せて、中小企業に寄り添った伴走型支援の拡充をお願いし、私の質問を終わります。
(下西委員)
27:
◯質疑(下西委員) 皆さん、おはようございます。公明党広島県議会議員団の下西幸雄です。本日は、
予算特別委員会において
質疑の機会を頂き、誠にありがとうございます。私からは、土砂災害防止対策の推進、危機管理体制の強化といった、防災の取組についてお伺いします。
最初の質問ですが、土砂災害防止対策の推進についてお伺いします。
5月に開催されるG7広島サミットは、広島に注目が集まる絶好の機会であり、この機会を生かして、サミット後も、本県がさらに力強く発展していくことができるよう、広島の様々な魅力を世界中に発信していく必要があるのではないかと思います。本県の魅力の一つに、都市と自然の近接性があり、これは、多くの方々が求める、自由度と満足度の高い暮らし方と働き方の両立において、大きなストロングポイントだと考えております。
しかし、このような社会を実現していくためには、安全・安心の確保が不可欠であり、激甚化、頻発化が懸念されている自然災害への対応を、今後もしっかりと進めていく必要があるのではないかと考えます。呉市の天応地区は、平成30年7月豪雨災害で甚大な被害を受けましたけれども、国の支援をいただき、迅速に復旧・復興が図られてきたと私は理解しております。また、当地を含む安芸南部山系の地域においては、これまで、被災地における再度災害防止対策として、国直轄の事業に取り組んでいただいてきたところですが、土砂災害警戒区域が全国で最多の本県においては、事前防災対策にも積極的に国の支援をいただく必要があると考えております。
そこで、安芸南部山系の地域における再度災害防止対策について、現在の進捗を踏まえ、これまでの取組についてどのように評価されているのか、
知事にお伺いします。また、今後、広島県の土砂災害対策を着実に進めていくために、どのように国と連携し、効率的、効果的に砂防事業を促進させるのか、併せて御所見をお伺いします。
28:
◯答弁(
知事) 安芸南部山系における再度災害防止対策については、現在、国において鋭意進めていただいているところであり、1月末時点で全体の約6割に当たる計15基の砂防堰堤が完成していると伺っております。
これら事業の進捗により、土砂災害に対する地域の安全性が確実に向上していると認識しており、本県の掲げる創造的復興に大きな貢献をいただいているものと評価しております。
また、本県の土砂災害対策については、頻発化、激甚化する災害に対し、被災地の復興のみならず、事前防災対策にも取り組む必要があると考えており、大規模あるいは高度な技術を要する場合には、直轄事業として実施していただけるよう国に対し働きかけるとともに、県においても国土強靱化などの予算を最大限活用しながら砂防事業を展開するなど、国と県の緊密な連携により、効率的、効果的な事業の促進に取り組んでまいります。
29:
◯要望・
質疑(下西委員) 平成30年7月豪雨災害からの復旧・復興に当たり、これまで国が果たしてこられた役割について、私も大きな感謝をしております。今後も安全・安心の確保こそが最重要であり、美しく、豊かで、落ち着いた環境の中で生活を送ることができれば、適散・適集社会が実現し、本県の課題の一つでもある、東京一極集中、地方からの人口流出に対しても歯止めをかけ、大きな効果をもたらすものと期待しております。
引き続き、国に対し、積極的な支援を求めていくことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
次に、危機管理体制の強化について、3点お伺いします。
南海トラフ巨大地震は、今後30年以内に発生する率が70~80%と言われており、切迫性が高い状態にあると言えます。幾多の自然災害で得た貴重な教訓を踏まえて、災害発生時の初動対応に対する備えをされていると思いますけれども、地震災害は、他の自然災害と比較しても予見が難しく、迅速な初動対応のためには、事前の備えがより重要です。
そこで、突然訪れる地震災害発生時における迅速な初動対応を確実に行うために、体制の整備や訓練の実施など、どのような備えをされているのか、危機管理監にお伺いします。
30:
◯答弁(危機管理監) 本県においては、地震発生後、迅速に初動応急対応ができるよう、1時間以内に登庁配備可能な参集要員の指定や自動招集メールの整備などにより、初動体制を確保するとともに、大規模地震の発生を想定した参集訓練などを毎年度実施しております。
また、市町に対しても、地震発生直後に職員が取るべき具体的な行動を定めた初動・応急対応手順書の作成や訓練の支援に取り組んでいるところです。
今後も、市町や防災関係機関と連携し、万が一、大規模地震が発生した際にも、県民の皆様の生命、財産への影響を最小限にとどめるよう、平時から、適切な危機管理体制の確保と訓練等を通じた実効性の向上に取り組んでまいります。
31:
◯要望・
質疑(下西委員) 私が特に心配しているのは、夜間に発生する災害ですが、これに対しての実地訓練はあまりしていないと伺っております。今後、市町も含めて、図上訓練になるかと思いますけれども、夜間についても徹底した訓練を実施していただきますよう要望しておきたいと思います。
次に、これまでの災害を踏まえた危機管理体制の見直しについてお伺いします。
今年度、北館と議事堂及び本館と北館を結ぶ、渡り廊下の耐震改修工事に係る実施設計が行われ、来年度からは工事に着手することとなっております。防災拠点となる庁舎間を結ぶ渡り廊下が耐震化されることにより、先に行われた庁舎の耐震化や危機管理センターのスペースの確保などと併せ、危機管理体制の強化が図られるところです。災害時にはこうした拠点を中心に、市町、関係機関との迅速かつ的確な情報共有が重要となります。
そこで、これまでの災害で生じた課題などを踏まえて、どのように危機管理体制の見直しを行い、情報共有を図っておられるのか、危機管理監にお伺いします。
32:
◯答弁(危機管理監) 平成30年の西日本豪雨災害では、発災当初時点における被害の全体像の把握や関係機関での情報共有に時間を要したことが課題となったところです。このため、令和元年度以降、危機管理センターにおいて、防災関係者が一堂に会し、情報共有を図るためのスペースの確保のほか、マルチディスプレーの導入などの環境整備を行うとともに、従来の市町や消防、警察等からの情報収集に加え、防災チャットボットやSNS上の投稿を活用した災害情報の収集、集約、共有について取り組んでおります。
また、実際の災害時には、危機管理センターに整備したデジタル機器を活用し、ウェブ会議システムによる各市町とのリアルタイムな情報共有を図るとともに、気象台職員を受け入れ、数時間ごとに、今後の気象の見通しなどの説明を実施し、市町が最新の気象状況等に即応した防災体制の確保や避難情報の発令などを実施できるよう対応しているところです。
引き続き、市町や関係機関と連携し、県民の皆様の適切な避難行動や迅速、的確な初動応急対応につなげられるよう、危機管理体制の一層の強化を図ってまいります。
33:
◯要望・
質疑(下西委員) 私も、本庁舎の防災拠点としてのハード・ソフト両面での整備をしっかりと強化していただくように、これまで訴えてまいりましたけれども、今後において、災害対応力強化のための人材の育成、確保にしっかり取り組んでいただきますよう要望しておきたいと思います。
次に、次期防災情報システムの強化についてお伺いします。
災害時に迅速な救助活動を実施するため、防災情報システムを通じて、県や市町、消防、警察などが把握する被害情報を収集、分析し、情報共有を図ることとなります。県においても、今年度は、市町等に意見を聞きながら、災害対応に必要な情報や現行システムの課題、改善策を整理した上で、令和6年度に運用開始予定の次期システムに備えるべき機能やシステム構成等の具体化を行ったと伺っております。
そこで、次期防災情報システムの構築に向け、市町等の意見を踏まえて、どのような機能強化が図れるのか、危機管理監にお伺いします。
34:
◯答弁(危機管理監) 令和6年度に運用開始予定の次期システムにおいては、避難情報や気象観測情報に加え、県民の皆様のSNS投稿等によるリアルタイムの情報をGIS上に一元的に表示する機能などを整備することにより、災害情報の収集、分析、共有の強化を図ってまいりたいと考えております。
また、今年度、市町から意見を聴取したところ、災害時における被害情報等の取りまとめに時間を要していることや、システムを通じた報告業務が煩雑との意見があったことから、次期システムにおいては、システム内の情報を抽出し、容易に帳票等を出力する機能の整備や、システム操作性の向上を図り、市町職員の業務負担の軽減や災害対応業務の効率化につなげてまいります。
引き続き、次期システムの機能や要件の詳細を取りまとめ、県民の皆様の適切な避難行動や迅速な初動応急対応の実施につながるシステムの構築に向けて取り組んでまいります。
35:
◯要望・
質疑(下西委員) ハード・ソフト面を含めて、防災体制の強化は、不断の取組である必要があります。これまでも複数回申し上げておりますが、危機管理センターは、リーダーである知事自らが、災害時の被災状況を肌感覚で捉えることができるように、多くの自治体と同様に、
知事室と同じ建物に危機管理センターを設置することが重要であると考えます。
危機管理センターの本館移転を含め、引き続き、防災体制の一層の強化に努めていただきますよう要望して、次の質問に移ります。
次に、下水汚泥資源の活用についてお伺いします。
農林水産省は、持続可能な食料システムの構築のために策定した、みどりの食料システム戦略において、2050年度までに、化学肥料使用量を30%低減することを目標に掲げておられます。輸入が大半を占める化学肥料は、世界的な食料需要の拡大に伴う調達競争の激化に、ウクライナ情勢の緊迫化も加わり、高騰を続けており、物価高の大きな要因の一つとなっております。
その中で、下水汚泥の肥料利用の拡大は、国内資源を活用した取組であり、国においても、強く推進をされています。昨年9月には岸田総理からも、農林水産省の会合の中で、食料品の物価高騰について緊急に対応していくために、下水道を所管する国土交通省等と連携を図って、下水汚泥堆肥化等の未利用資源を利用拡大し、肥料の国産化、安定供給を図るよう指示が出されております。下水汚泥については、現在、県及び各市町におきまして、コンポスト化やセメント原料化、炭化燃料での資源化、熱源化など、有効利用することにより、下水道事業費の削減に努められてはいます。また、下水道事業運営の一層の効率化が求められる中で、県では具体的な広域化、共同化の検討が行われており、令和3年3月に広島県下水道事業広域化・共同化計画を策定されております。
そこで、県及び各市町において、スケールメリットを生かした効率的な管理運営を考えたとき、広域化、共同化はより有効な手段だと思いますが、広域化・共同化計画を取りまとめている中で、下水汚泥のコンポスト化について、どのような検討をされてきたのか、企業局長にお伺いします。
36:
◯答弁(企業局長) 下水汚泥のコンポスト化については、令和3年3月に策定した広島県下水道事業広域化・共同化計画の取りまとめに当たり、有効利用の促進や安定した処分先の確保を目的とする共同処理方式の一つとして、汚泥燃料化などとの比較検討を行ったところです。
この中で、コンポスト化については、製品需要の拡大が見込みづらいといった市町からの意見に加え、他の共同処理方式と比較して、汚泥を乾燥させるための敷地として、より広大な面積が必要となること、候補地に隣接する民家や商業施設への臭気対策により多くのコストが見込まれることなどから、計画へ盛り込むことを見送ったところです。
一方で、現在、国におきまして、下水汚泥のコンポスト化の拡大に向けた方向性が示されているところであり、その動向についても情報収集しながら、市町と広域化、共同化による下水汚泥の効率的な処理について、さらに検討を進めてまいります。
37:
◯質疑(下西委員) 次に、下水汚泥資源の肥料利用の今後の方向性についてお伺いします。
今後の下水汚泥の肥料への活用については、昨今の肥料価格が高騰する中で、緊急的な対応ですが、焼却する汚泥を減少させることにより温室効果ガスの削減にもつながるなど、循環型社会への構築を目指す上で、着実な推進が求められていると確信しております。県内においても、下水処理場で発生する汚泥の一部がコンポスト化されており、令和2年度の県内の下水汚泥の処理状況を見ると、コンポスト化は31%と、全国平均の約1割を上回っている状況です。
しかしながら、国の動きを踏まえると、さらに積極的にコンポスト化に取り組むべきと私は考えます。そこで、下水汚泥のコンポスト化の今後の方向性について、都市建築技術審議官の御所見をお伺いします。
38:
◯答弁(都市建築技術審議官) 県内の下水汚泥については、コンポスト化のほか、セメント化等の建築資材利用や固形燃料化によるエネルギー利用により、汚泥の大部分を有効活用しております。一方で、さらなるコンポスト化の拡大のためには、農業者、消費者の安全性、品質に関する懸念を解消し、需要を拡大させる必要があると認識しております。
こうした中、農林水産省と国土交通省が連携して、下水汚泥資源の肥料等の利用拡大に取り組んでおり、汚泥中の重金属分析や肥料としての成分分析に対する支援、さらには肥料の流通経路の確保に向けた支援の実施を検討されているところです。
県としても、引き続き国や市町と連携しながら、下水汚泥のコンポスト化の拡大について検討してまいります。
39:
◯要望(下西委員) 広島県においても、今後の下水道事業については、人口減少等に伴い使用料収入が減少する一方で、施設の老朽化に伴い更新費用が増加するなど、経営環境が厳しさを増すことが想定されております。運営の効率化のみならず、汚泥肥料の効率的な処理や肥料価格高騰対策、循環型社会の実現を考えた際に、関係者と連携した、下水汚泥のコンポスト化、施設整備は重要と考えられます。広域化、共同化への追加も含めて、なお一層の促進を強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。
(西本委員)
40:
◯質疑(西本委員) 皆さん、こんにちは。民主県政会の西本博之です。昨日に引き続き、質問させていただきます。本日は、教育委員会関係1本となっておりますので、どうぞよろしくお願いします。それでは質問に入ります。
グローバル社会に適応できる人材育成に関連して、児童生徒の英語力向上についてお伺いします。
OECD──経済協力開発機構のデータによると、日本の国際競争力やGDPなどの指標について、上位に位置していた時代ははるか昔のことで、今や日本の力は、様々なデータにおいてランクダウンしており、厳しい言い方では、今や日本は先進国とは言えず、産業や教育等の取組によって、さらにランクが下がってくるとの指摘がございます。
そういった状況の中で、取り組むべき事業の一つとして、グローバル社会に適応できる力を早い段階で教育することが重要であると考えております。取り急ぎ、取り組むべき課題は、グローバル社会で通用する英語力、そして、新たな技術を生み出す力、この二つの力の育成ではないかと考えております。
英語はできなくても、何とかなるといった思いや、まだまだ日本の技術や開発力は他国に負けないといった安易な考えが、取り返しのつかない事態を招くと危惧しております。誰もが社会人になってグローバル社会に適用できる、誰もが海外で実践できるコミュニケーション能力である英語力を身につけ、そして自ら考え、探求することのおもしろさを学び、新たな技術を生み出し、世界に発信、発揮することで、社会に貢献でき、併せて人生をよりよく楽しく生きていくことができると考えております。
そして、そういった学びの場において学ぶことが必要であり、面白いと思える、モチベーションが上がる教育を推進することが重要ではないでしょうか。さらには、モチベーションを上げることは、不登校対策や転出超過対策など、様々な分野にも貢献すると考えております。
そこで、学びの変革推進事業の中学校英語力向上総合対策プロジェクトにおいて、英語を使ってコミュニケーションを図る機会の充実や、「話すこと」調査等を行うこととしておりますが、具体的な調査内容と調査結果の活用について、教育長にお伺いします。あわせて、生徒自身のやる気を引き出し、楽しみながら英語学習に取り組めるような工夫について、どのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いします。
41:
◯答弁(教育長) 英語でコミュニケーションを図る能力は今後ますます重要となることから、とりわけこれまでの調査で課題の見られた「話すこと」について、重点的に調査を行うこととしました。令和5年度に、公立中学校第3学年の生徒全員を対象に実施する英語「話すこと」調査については、特定のテーマについて自分の考えを英語で話し、録音した音声を分析するといった調査方法を予定しております。
調査結果の活用については、生徒の基礎的な英語力の定着状況を把握し、個々の学習状況の改善につなげるとともに、各学校における「話すこと」に関する指導の充実や、県が進める英語力向上に係る施策の参考としてまいります。
また、英語学習については、生徒が意欲を高め、楽しみながら取り組むことが重要であることから、全県を対象として、
外国語指導助手、いわゆるALTと一緒に、1日英語のみを使って交流活動を行う、イングリッシュデー等を実施してまいります。さらに、全ての学校がオンラインで海外の中学校とつながり、一緒に英語授業ができるような仕組みづくりに向け、来年度からモデル校での取組も進めてまいります。
42:
◯要望・
質疑(西本委員) 私自身、今さらながら勉強しておけばよかったと思っております。そして、その中でも、とりわけ英語については、悔やまれる場面が多々あります。湯崎
知事が大舞台で英語をぺらぺらしゃべっていることを、うらやましく思っております。改めて、今後の日本社会のために、楽しい、そして有意義な英語教育の推進をお願いします。
続いて、STEAM教育の視点を取り入れた探求活動の充実について
質疑します。
グローバル社会に適応し、活躍できる人材を育成するには、海外で通用する英語力に加えて、自ら課題を探求し、解決策を導く力といった、実社会で活躍できる能力や資質を育んでいくことが必要です。このためには、サイエンス──科学、テクノロジー──技術、エンジニアリング──工学やものづくり、アート──芸術やリベラルアーツ、マスマティックス──数学、全くのジャパニーズ英語でしたが、この頭文字を合わせたSTEAM教育と呼ばれる教科横断的な視点も取り入れながら、児童生徒の主体性や探求心を引き出していく教育が重要であると考えております。
教育委員会においては、モデル校を選定し、STEAM型カリキュラムの開発に取り組むなど、積極的な取組をしていただいていると思いますが、一方で、このようなSTEAM教育は、教える側の力量も問われることなどから、広く実施していくには課題も多くあると認識しております。
そこで、これまでモデル校において取り組んできたSTEAM型カリキュラムの成果と、令和5年度当初予算における学びの変革推進事業の中で、STEAM教育の視点を取り入れた探求活動をどのように充実させていくのか、教育長にお伺いします。
43:
◯答弁(教育長) 本年度開発したSTEAM型カリキュラムにおきましては、課題の発見や解決をしていくこと、さらに社会的な価値を創造していく資質、能力を育成することを目指して、様々な社会課題をテーマに、生徒が自由な発想で教科等横断的に解決策のアイデアを出し合い、そのアイデアを形にしていく探究活動を行うこととしております。
このカリキュラムの実施に当たり、地域や大学、企業との連携を強化することや、教員のファシリテート力の向上等が求められております。このため、例えば、地域が抱える現実的な課題について、金融機関等と連携し、地域経済に係るデータを踏まえて新しいサービスを提案する、大学と連携し、建造物等の模型の作成、実験を踏まえて災害に強いまちづくりを提案するなど、社会実装につながるカリキュラムを開発したところです。
令和5年度は、モデル校に3Dプリンター等の整備を行い、実際の授業における様々な実践を通して見られた生徒の姿を踏まえて、カリキュラムの検証、改善に取り組んでまいりたいと考えております。
県教育委員会としては、モデル校の実践につき、県教育委員会が主催する研修や教育研究・実践合同発表会において紹介するなどして、教員の資質向上を図ってまいります。
44:
◯質疑(西本委員) 最後に、産業教育の充実について質問します。
本県産業がグローバル社会に適応し、競争力を保っていくためには、将来的な社会変化に対応した職業教育を充実させ、地域において、新たな価値や付加価値を創造、創出できる人材を輩出していくことが必要と考えております。
昨年10月には、広島県地方産業教育審議会において、本県における産業教育の在り方について答申が出されました。この答申において、教育課程の編成、実施、教職員の資質、能力の向上、教育環境の整備等について、例えば、産業界や高等教育機関等と連携を図る学習活動を充実させることや、探求的な学習活動を充実させることといった視点から、産業教育の充実に資する方策が示されたところです。ぜひ、こういった答申を踏まえて、将来の広島の産業界を引っ張っていくような人材の育成に取り組んでいただきたいと考えております。
こうした中で、教育委員会は、産業教育推進事業の中で、産業界で必要な資質、能力の育成を図るためのカリキュラム開発などに、新たに取り組むこととしております。
そこで、このカリキュラムの開発とは具体的にどのようなことに取り組むのか、また、産業教育を令和5年度以降どのように広げていこうとお考えか、教育長の御所見をお伺いします。
45:
◯答弁(教育長) 今後の本県産業教育の充実に向けては、VUCAと言われる、先行きが不安定、不確実、複雑かつ曖昧な時代にあって、様々な職種の方々との協働を通して、新たな価値を創造できる職業人の育成に取り組んでまいりたいと考えております。このため、来年度は、社会の急激な変化に柔軟に対応できる教育課程の編成を目指して、学科の枠を超えたカリキュラムを開発するとともに、コーディネーターを配置して、高等学校と地域の企業や経済団体との連携・協働体制の構築を推進してまいります。
この教科の枠を超えたカリキュラムについては、例えば、令和3年度から商業高校において、起業家精神の育成を図るための学習プログラムを先行的に導入し、生徒が自ら取り組む課題を見いだし、要因などの分析を経て解決案を模索し、完成させたビジネスモデルを発表するコンテストを実施しており、本年度は、商業科以外の学科からの参加者も交えて開催することとしております。
令和5年度以降は、こうした場への参加を通じて、自らの専門分野以外の他の学科にも視野を広げた生徒が、他の学科とチームを組み、協働して探究的な学習活動に取り組むカリキュラムの開発を目指してまいります。
46:
◯要望(西本委員) 最後に少しコメントさせていただきます。経済発展や豊かな暮らし、その全ての原点は教育にあると私は考えております。そして、その取組に対する結果、成果、効果はすぐに出るものではなく、時間がかかることも承知しております。難しい取組ですが、人を思い、社会を思い、その思いをいかに真剣に、誠実に考え、行動、そして事業に移すかだと考えております。これからの本県教育がよりよいものになるよう、今後の事業展開に期待しているところです。
もう1点、主に、生産現場、製造技術の領域になりますが、3K──きつい、汚い、臭いという言葉がございます。26年間、生産現場でお世話になり、仕事をさせていただき、まさにそのとおりだと考えております。技能、技術は、3Kと言われる生産現場から生まれ、生産技術とつながってまいります。改めて、ものづくりの原点は現場であり、その現場を守り、大切にしていくことが必要だと考えております。
賃金や職級、職場環境など、現場の手当や改善がおろそかにならないよう、いま一度原点に返り、誰もが働きやすい、住みがいのある本県を目指していただくことをお願いして、質問を終えたいと思います。ありがとうございました。
休憩 午前11時57分
再開 午後1時30分
(犬童委員)
47:
◯要望・
質疑(犬童委員) それでは、
委員長の許可を得たので質問させていただきます。質問の機会を頂き、ありがとうございます。30分ですから、たくさん
質疑できないと思っています。明日もありますから、残りは明日にと思っております。
最初に少し、私見を述べさせてもらいます。今ちょうど、卒業、入学、就職シーズンを迎えました。どこの子供も親も、心配で、喜ばしい時期ですが、若い人が羽ばたけるように、私たちも責任を持って取り組んでいきたいと思っております。今朝の新聞に児童生徒の自殺者が512人と載っていました。若い人に命を大事にしてほしい。そして、自分が悩んでいることや失敗したことは恥ずかしいことではない。人に助けを求めることは恥ずかしいことではない。だから、自分だけで抱え込まないで、みんなの力を借りて、生きていってほしいと私は思います。若い人の心まで呼びかけたいと思います。
それでは質問に入りますが、先ほど、上蒲刈島の大浦の県民の浜に電話しました。あそこに河津桜が4、5本あり、どうですかと聞いたら、今6分咲きとのことです。たくさん人が来て、写真を撮るなどしていますけれども、いよいよ桜のシーズンを迎えることになります。ぜひ、広島県政も桜が咲いて、県民が喜ぶような、誰1人置き去りにしない、湯崎知事の政治姿勢で、そういう時期を迎えられるように心から祈念しております。
トルコ南部あるいはシリア国境近くで大きな地震があり、たくさんの犠牲者が出ました。心からお見舞いを申し上げたいと思います。また、ロシアによるウクライナ侵攻が多くの犠牲者を出しており、1年を迎えて、知事もこの件に対して改めて、厳しい姿勢を見せておられます。これまで幾度も核兵器の使用を示唆していることは、被爆地広島の
知事として絶対許せない、断じて容認することはできないと言われていました。私も全く同感です。ロシアはウクライナから即時撤退すべきです。ここからは聞こえないと思いますが、あえて私はそれを言っておきたいと思います。
このたびの
予算特別委員会において質問の機会を与えて頂きましたことを改めてお礼申し上げます。私は、県政報告くれを毎朝歩いて配付しながら、市民との対話を重ねてきております。今日もここに来るまで、400軒を超えるまち歩きをしてきました。そして、皆さんからいろいろな意見も頂いております。その意見に基づいて、このたび質問させていただくわけです。今回は日鉄の撤退、雇用問題、そして瀬戸内の国際観光の問題、呉地域の道路交通網の問題や核兵器廃絶の問題等について質問させていただきます。
私に寄せられた幾つかの市民の要望を少し皆さんに紹介します。安浦町の人から、障害児の支援学級に私の孫が今年から行くことになりました。食べ物をかむことができなくて、おかゆ状にして食べさせています。このような、食べられない児童についてお願いいたします。また、呉市の人から、豪雨災害対策を進めてほしい。呉市下山田町の人から、高齢者福祉、医療介護を強めてほしい。川尻町の人から、豪雨災害対策や崖崩れ対策を進めてほしい。焼山の人から、安芸灘大橋の無料化を進めてほしい、県道呉平谷線のバイパスを早く造ってほしい。阿賀の人から、呉地域の活性化や高齢者福祉を進めてほしい。などなど、切りがありませんけれども、たくさんの要望のはがきを頂いており、全て重要な市民の要望ですけれども、全て取り上げられませんし、これまでに議論が進んでいますから、それはそれで対処したいと思っております。
1番目の質問ですけれども、2019年7月の参議院議員選挙広島選挙区において、広島県政に大きな影響を与えた、選挙資金のばらまき事件がありました。いわゆる河井事件です。県議会議員は8名辞め、補選もありましたけれども、現在、6名が欠員のままです。そういう中で私たちは審議していますけれども、決して褒められることではありません。県民の信頼を損ない、県政に大きなマイナスになったと思います。県政の責任を担う知事も懸念を表明されましたが、改めて、この事件に関する思いと
知事の政治姿勢をお聞かせください。
48:
◯答弁(
知事) 政治に携わる者の一人としてお答え申し上げます。令和元年の参議院議員通常選挙における河井夫妻による買収事件は、政治に対する信頼を大きく損なう、重大な事件であると認識しております。
私を含め、政治に携わる者は、政治の信頼回復に向けて、努力を続け、県民の皆様の政治不信を招くことがないよう、襟を正して行動しなければならないと考えております。
49:
◯意見・
質疑(犬童委員) この問題は、春には全国で統一地方選挙があるので、今日の中国新聞にも大きく報道されております。政治と金の問題を、私たちは自らの問題として、ここでけじめをつけなかったら、県民の広島県政、県議会に対する信頼の回復はないと私は思っております。これまでも、幾らか取組をしてまいりました。いずれにしても、県民の負託に応えられる県議会にしてまいりたいと思います。
次の質問は、日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所呉地区の撤退の問題について、知事にお伺いします。
これまで知事が再三、呉市長と一緒に日鉄と話合いをしてこられた努力を、私は評価したいと思います。
知事としての思いと、これからどうあってほしいと期待するものは何か、お聞かせください。
50:
◯答弁(
知事) 本年9月の日本製鉄株式会社瀬戸内製鉄所呉地区の全設備休止に向けては、当面の最大の課題である離職者対策について、全力で取り組んでいるところです。呉市や国と連携した合同企業面接会や個別就職相談会の実施などによって、推計ですが、9割近くの方が再就職されたものと認識しており、今後もこうした取組を実施することとしております。一方で、本年9月末の全設備休止後の対応については、現在、県、呉市、日本製鉄の3者で様々な協議を行っているところです。
跡地の利活用については、できるだけ早期に利活用できるよう計画的に解体撤去を進めること、解体スケジュールを明らかにすること、雇用やにぎわいの創出など地域の活性化につながる跡地利用の方針を示すことなどを求めているところで、日本製鉄には、地域の方々に安心していただくためにも、適切な時期に自ら公表していただきたいと考えています。
51:
◯質疑(犬童委員) この前、呉市の県議会議員4名と呉市長の話合いを持ったときに、やはり知事と同じように日鉄も無責任なことはしないでしょう、そういう方向で努力してもらっているので信頼したいということでした。私も、そうあってほしいと思っております。問題は、呉地域の日鉄の撤退に伴って、中央商店街を含め、呉地域の振興や雇用創出について、この先どうするのか、市民の中に不安があり、心配されております。
知事として、これからの呉をどうしていきたいと思っているのか、お伺いします。
52:
◯答弁(
知事) 令和2年の製造品出荷額等を見ますと、コロナの影響もあり、県全体で8.9%減となっておりますが、呉地域においては13.5%減となっており、今後9月の日本製鉄の全設備休止に伴い、多くの離職者が生じることが想定されるなど、まずもって呉地域の経済状況については、厳しい状況であると認識しているところです。これを踏まえて、日本製鉄の取引企業の事業継続や新規事業展開を支援する方策として、新たな設備投資に対して最大1億円を支援する県独自の助成制度を令和3年度に創設しており、引き続き、この制度による支援などを継続してまいりたいと考えております。
呉市においても、国の中小企業等事業再構築促進事業に対する上乗せの補助制度を創設され、関連企業の事業継続を支援されております。また、呉地域においては、IHI、ジャパンマリンユナイテッドなど、長年にわたって地域経済を支えている企業や、半導体関連のディスコといった先端・成長産業もあります。また、セーラー万年筆といった世界的評価を受けている企業もあり、魅力的な観光資源も多く有しておりますので、日本製鉄の全設備休止発表の直後から、呉市とは、地域の産業振興のための様々な方策について意見交換を行ってきたところです。
引き続き、呉市と連携しながら、先端・成長産業の企業誘致、投資促進、観光振興など、地域経済の活性化と雇用創出に取り組んでまいりたいと考えているところです。
53:
◯要望・
質疑(犬童委員) 知事の努力には感謝しておりますが、地主は日鉄ですから、なかなか呉市や県だけでは対応できない。しかし、前向きに取り組んで、県とも一緒にやっていきたいと呉市も期待しております。早期に、地元民が明るい展望を持てるよう、努力していただきますようにお願いしたいと思います。
私の近所に日鉄の社宅がたくさんあります。もうほとんど、空き家ばかりになっていますけれども、近所の人あるいは当事者の皆さんといろいろ話をする中で、単身赴任で日鉄の他の工場に行かれる人がたくさんいて、呉市広を中心に、いわゆる、母親と子供だけが残って家庭を守るというところもたくさんあります。問題はやはり、子供たちの教育や就職の問題、あるいは同居している高齢者の介護の問題などです。配置転換に応じた皆さんも同じように心配事を抱えて行っているわけです。これに対して、ぜひ、呉市が中心になりますけれども、県も含めて、相談にあずかっていく、あるいはサポートしていくことが必要だと思っております。もちろん、日鉄だけではなく、他の企業もこういう状況が起きていますから、要望ですけれども、県も呉市と一緒になって、留守家庭を預かる家族を守ってほしい、支えてほしいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
次の質問は、瀬戸内の国際観光の推進についてです。
知事は10数年前に「瀬戸内 海の道構想」と出され、大いに期待してきたわけですけれども、最近少し声が小さくなっているのではないかと心配しております。瀬戸内の魅力発信を強化していくためにも、これまでの取組について点検、見直しが必要と考えますが、
知事の所見をお聞かせください。
54:
◯答弁(
知事) G7広島サミットの開催により、本県のインバウンド需要のV字回復への期待感が高まっております。
そういう中で瀬戸内の魅力を国内外に効果的に発信していくためには、これまでの取組を点検、見直しを行うなど、PDCAサイクルをしっかりと回しながら、実効性のある取組を進めていくことが重要であると認識しております。
「瀬戸内 海の道構想」の推進組織として、平成28年3月に設立した、せとうちDMOにおいては、来年度からの3年間を期間とする、新たなせとうち観光成長戦略を今年度中に策定するよう作業しており、最終調整を行っているところです。
新たな戦略の策定に当たって、これまでの取組を総括する中で、開発してきた観光コンテンツの市場への流通を担う海外の事業者との連携を強化する必要があることや、瀬戸内エリア内の各地域との役割分担や相互理解が十分ではないことなどのほか、コロナ禍により、海外のメディアや旅行会社等における瀬戸内についての知見の蓄積が低下していることなどが課題となっており、こうした課題の解決を含め、より一層、国際観光の推進を図っていくこととしたいと考えております。
55:
◯意見・
質疑(犬童委員) 次の質問の答えを頂いたようなもので、私の独り言として聞いていただければいいのですが、瀬戸内海に公立の博物館をつくることを検討する必要もあるのではないかと思っています。福岡県にある九州国立博物館、琵琶湖にある滋賀県立琵琶湖博物館を見に行きましたけれども、極めてよく研究されています。そして、見る人を引きつけるような展示や案内がされています。瀬戸内海はどうやって生まれたのか、どうして瀬戸内海に産業が育ったのか、瀬戸内海の水生生物を含めて、どのようなことで魚がすむようになったか、どんな魚がすんでいるのだろうかなど、農林水産業、近代的産業を含めた産業にどんな変遷があったのかをまとめて瀬戸内海の国立博物館をつくったらと考えています。前向きに知事にも考えてもらっており、ぜひ、頭の隅に置いてもらって、この構想も一つの検討課題にしてもらいたいと思っています。
いろいろな案が呉市の活性化について出ております。エネルギー基地にしたらどうかという案もありますし、病院船の基地にしたらどうかという構想も、呉地域で皆さんに訴えられており、どれも貴重な意見だと私は思っています。海の道構想も含めて議論しながら、どうしたら本当に呉地域を含めた島嶼部を活性化していけるか、ぜひ、県も、これぞと思う案を呉市、国も含めて検討していただきますようお願いします。
次の質問ですが、呉地域の道路交通網整備の問題、特に、国道185号線の渋滞は毎日、非常に厳しいものがあります。
知事の努力によって、先ほど言った交差点立体化がこの前完成しました。しかし、渋滞については、今度は2か所で発生するようになり、非常に朝混み合っていまして、これは何とかしないといけないと思っております。
県として、この実態をつかんでいると思いますが、どのようにこの問題に取り組んでいかれるのか、土木建築局長にお伺いします。
56:
◯答弁(土木建築局長) 先小倉交差点については、阿賀インターチェンジの立体化が完成し、東広島・呉自動車道から休山トンネルへ向かう右折交通の所要時間が最大で約5割短縮するなど、朝夕を中心とした渋滞の緩和に一定の効果があったところです。
一方で、一般国道185号の呉市広から休山トンネルへ向かう交通については、朝のピーク時を中心に依然として渋滞が発生しているため、引き続き、国などの関係機関と連携し、交通流動や渋滞要因の分析を行いながら、渋滞緩和に向けて具体的な対策の検討に取り組んでまいります。
57:
◯意見・
質疑(犬童委員) 私も、ほとんど毎日通りながら、何かいい方法はないかと考えているのですが、やはり、クレアラインを含めて、JR呉線沿いに高規格道路を整備しなかったら、どの車もどこかの交差点を通るので渋滞が解消できないと思います。したがって、阿賀、広あるいは竹原市を通る高規格道路を整備する計画を考えていく必要があると思います。これは、坪川議員の父上がよく提案して、何とかこの問題を解決したいと努力してきました。私もそう思います。
自動車専用道路をこれから計画していくことについて、土木建築局長はどう思いますか。
58:
◯答弁(土木建築局長) 広島呉道路の呉インターチェンジから阿賀インターチェンジまでについては、広島県広域道路ネットワーク計画において高規格道路の調査中の区間に位置づけているところであり、また、これより東側の阿賀インターチェンジから竹原市を経由する三原市までの区間については、国道185号を一般広域道路として位置づけ、交通の円滑化に資するバイパスなどの整備を推進しているところです。
引き続き、国等と連携し、費用対効果などの優先順位を考慮しながら、地域間交流を支える広域道路ネットワークの構築を推進してまいります。
59:
◯要望・
質疑(犬童委員) そういう構想が具体的になってきたことは私も知っていますけれども、ぜひ具体的に、もっとスピード感を持って取り組んでいただきたいと思います。もちろんこれは、国が主体でやってもらわなければいけないのですが、今説明があったようなことを前向きに進めていただくことをお願いします。
次は、呉平谷線の問題です。1年前にやっと本格的に着工していただき、工事が進んでおります。先日、私も現場を見に行きました。これは難事業で危ないと、けががなければいいと思いながら見てきました。この問題は50年前から話があり、地元の皆さんから、いつになったらできるのかと、よく言われます。もっと早く救急車が下まで降りられるとか、子供たちが学校に通うとき、職場に行くときにもっと早く車で降りられたらいいと、地元の皆さんも、早期の完成を願ってきました。
やっとこの問題に真正面から取り組んでいこうということで、本格的に着工しました。私は、10年はちょっと長いと思うのですが、工事の性格からして、大変な難工事だと思っています。ぜひ1日も早く完成するように取り組んでいただきたいと思いますが、どうですか。
60:
◯答弁(土木建築局長) 主要地方道呉平谷線の焼山此原工区約0.4キロメートル区間については、本年3月に完成する見込みです。
また、上二河工区約2キロメートル区間については、連続した橋梁やトンネルなど大規模な構造物を整備することとしており、昨年10月からは橋梁下部工の工事に着手したところであり、鋭意工事を進めているところです。
来年度からは、国の交付金において、重点配分される新たな制度を活用し、必要な事業費の確保に努めながら、早期完成を目指し、引き続き工事を推進してまいります。
61:
◯要望(犬童委員) これは要望ですが、大きな工事では事故がよく起きるので、事故を起こさない、けががないように仕事をしてもらいたいということを、心からお願いしておきます。
もう時間もありませんが、とびしま海道の問題です。私は、前から架橋延長と言っています。もちろん、国がそういう線を引いており、岡村島から大三島に三つの島があって、4つの橋を架けて四国と直結させるのは、基本的に国が出している案です。これは止まっていますけれども、私はやはり、呉と四国を直結するという意味から、やはり橋を架けて、ぜひ、とびしま海道で大三島まで通れるようにしてもらいたいという思いをいつも持っています。岡村島も今治市ですから、知事が言われるように、それは、全部、愛媛県知事の範囲であり、広島県
知事がとやかく言えるものではないとのことです。そういう問題もありますけれども、広島県と愛媛県が協力し合って、地元の国会議員も含めて取り組まなければ、前に進まないと思いますから、長期的な課題として取り組んでいただきたいと思っているところです。
時間もまいりましたので、残りの私の質問は明日に回したいと思いますが、どうぞまた知恵を貸してもらって、呉地域が少しでも発展するように御協力いただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。
(山木委員)
62:
◯質疑(山木委員) 皆さん、こんにちは。自由民主党広島県議会議員連盟の山木 茂です。今次
予算特別委員会において質問の機会を与えていただき、
委員長をはじめ、皆様に心より御礼を申し上げます。時間も限られますので、早速質問に入らせていただきます。
質問の第1は、広島県農業ジーンバンクについてお伺いします。
広島県農業ジーンバンクが、今月末をもって廃止されることが発表されました。ジーンバンクとは、生物多様性の維持や、農業分野等での有用な生物の遺伝資源を保存するための施設のことです。広島県農業ジーンバンクは、失われつつある本県農産物の種の保存と、その再活用を目的として、本県が1988年に設立したもので、研究機関のみならず、県内の農家が、保存種子を無料で利用することができる大きな特徴があります。この仕組みによって、例えば青大キュウリ、観音ネギ、矢賀チシャ、川内ホウレンソウ、笹木三月子大根などの伝統野菜の栽培が復活し、地域活性化に貢献するとともに、広島食文化の豊かさにつながってまいりました。
そこで、広島県農業ジーンバンクの廃止を決定した経緯について、改めて
知事にお伺いします。
63:
◯答弁(
知事) 県ジーンバンクについては、平成元年に設立して以降、稲、野菜類など多くの種子を収集し、それらを維持、保管することに加えて、研究機関や農業者へ配付する役割を担っており、一般財団法人広島県森林整備・農業振興財団が事業を実施しているところです。種子の収集については、平成30年に終了し、配付については年間20件程度にとどまっており、栽培が定着している品種の多くは、生産者が自ら採種している状況です。
一方、施設の老朽化などの課題があることから、これまで収集してきた種子を将来にわたって、維持、保管できる方法について検討を進めてきたところです。その結果、県ジーンバンクが担ってきた広島県固有の種子の維持、保管や配付に係る業務を将来にわたって、安心して引き継ぐことができる国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構へ移すことに決定したものです。
この農研機構については、固有の特性を持った種子を適切に保つことができる最新の貯蔵施設で種子の維持、保管が可能です。また、種子の配付については、希望される方には、これまで以上に簡易な申込手続により利用できる仕組みとなっております。
こうした経緯により、広島県農業ジーンバンク事業としては、終了することとしたところです。
64:
◯質疑(山木委員) 農家の皆様への配付等は担保されるという説明をありがとうございました。
先日、広島県農業ジーンバンクを守る会から、中本議長及び湯崎知事、農林水産局長宛てに存続を求める陳情書が提出されております。同会の下には存続を求める1万2,592名の署名が集まっております。ジーンバンクの廃止については、県民の皆様の理解を得るために、廃止に至る経緯や理由をできるだけ丁寧に説明する必要があると思います。
そこで、提出された陳情書について、どのように受け止めておられるのか、また、県民の納得が得られるよう、改めて廃止に至る経緯や理由について丁寧な説明をしていくべきではないかと考えますが、併せて
知事の御所見をお伺いします。
65:
◯答弁(
知事) 提出された陳情書については、これまで、県ジーンバンクを利用されてきた方などから、本県の特色ある農業の持続的発展のために、これまで保有してきた種子を守り、未来へ引き継ぐことが重要であるとの考えから、存続を望んでおられると受け止めています。
これまで保有してきた種子については、設備や管理体制が整っている農研機構に譲渡することにより、貴重な遺伝資源を将来にわたって引き継いでいくことが可能となります。これまでと同様に、安心して御利用いただけると考えているところです。
県民の皆様への説明については、これまでも利用者の皆様などへの説明を行ってきたところですが、様々な御意見を頂いていることから、これまでの経緯も含め、譲渡後の種子配付の手続や栽培方法などについて、分かりやすく解説するなど、丁寧な説明に努めてまいりたいと考えております。
66:
◯質疑(山木委員) 農研機構のほうが将来わたって、より安定的に引き継ぐことができるだろうという説明でした。
現在、広島県の農業ジーンバンクに保存している種子は1万8,000点以上ございます。そのうち約6,000点を、国の研究機関である国立研究開発法人農業食品産業・技術総合研究機構に譲渡する予定ということです。残りの約1万2,000点を廃棄される予定だと伺っておりますが、譲渡、廃棄される種子について、どのような基準で選定されたのか、農林水産局長にお伺いします。また、廃棄される種子について、有効活用するよう要望も出ておりますが、併せて農林水産局長の御所見をお伺いします。
67:
◯答弁(農林水産局長) 譲渡する種子については、県ジーンバンクと農研機構が保有する種子を照合した上で、保有していない種子を譲渡することとし、保有されている種子については、農研機構から配付することが可能であることから、譲渡を行わないこととしました。
譲渡を行わない種子については、直ちに全てを廃棄するのではなく、利用者の皆様や市町など関係者の御意見を伺いながら、有効な活用方法について検討してまいりたいと考えております。
68:
◯要望・
質疑(山木委員) 1万2,000点について農家の方などの要望があれば、有効活用されるという御答弁でした。ありがとうございます。
もう1点、広島県農業ジーンバンクを廃止することで、県の農業技術研究分野に影響が出るのではないかと心配しておりますが、
経営戦略審議官にお伺いします。
69:
◯答弁(
経営戦略審議官) 農業技術センターにおけるジーンバンクの活用状況としては、平成20年度には6件の利用がありましたが、平成21年度以降、活用実績はない状況にあります。
こうした中、農業技術センターの新品種育成におきましては、農業技術センターで保有している品種のほか、国などの試験研究機関から育成に用いる品種や系統の譲渡を受けて実施できる体制が整っております。
また、これまでの新品種育成過程で得られたジーンバンクに保管しておりました遺伝資源についは、ジーンバンクから譲渡を受け、農業技術センターで、引き続き保管、管理していくこととしており、ジーンバンク廃止による影響はないものと考えております。
70:
◯要望・
質疑(山木委員) 研究に対する影響もないということでした。
要望させていただきますが、広島県農業ジーンバンクで保存されている種子は、広島県の伝統野菜など、県民の皆様のルーツに関わるものです。陳情書が提出され、存続を求める署名も1万2,000名を超えて集まっていることから、県民の皆様の納得が十分に得られているとは思っていません。引き続き、県民の皆様の納得が得られるように、丁寧な説明を行っていくとともに、種子の有効活用に向けた検討を行われるよう強く要望させていただき、次の質問に移ります。
質問の第2は、サッカースタジアム事業費における寄附金についてお伺いします。
サッカースタジアムのオープンまで約1年となりました。建設中のスタジアムが見えるたびに、工事が順調に進んでいる様子にわくわくしながら、世代を超えて人が集い、楽しみ、歓喜し、憩う、町なかスタジアムの姿を想像し、観戦を待ち遠しく感じているところです。
そんな中、先日の中国新聞の報道にありましたが、サカスタの全事業費が、物価高の影響で当初の想定と比べ約12億円増加し、また国庫補助金も約22億円増加し、寄附金についても想定以上に集まり、約12億円の増加となりました。一方で、県、市の負担金はそれぞれ約10億円の減少となっております。商工会議所を窓口とした地元経済界からの寄附については、2020年11月に開始し、2021年12月末の時点で、目標の10億円を突破しております。その後も、引き続き寄附の協力を呼びかけられ、最終的には企業や個人事業主の443社から18億円以上の寄附が集まっております。また、個人からの寄附についても、目標の3億円を大きく上回り、今年1月末時点で4億3,000万円以上の寄附が集まっております。これだけたくさんの寄附が集まったのは、ひとえに県民のサッカーに対する思いのたまものであります。サッカー振興に役立ててほしいといった強い思いを込めて寄附を行われたのではないでしょうか。
今回の事業費の見直しは、そういった寄附した方々の思いとは異なり、単に寄附金が多く集まったから県の負担金を減らすという安直な判断をしているように見えてしまいます。寄附金が想定以上に集まったのであれば、スタジアムの機能の拡充やサッカー振興に充てるなど、寄附者の思いを酌んだ対応ができないものでしょうか。県財政が厳しいことは重々承知しておりますが、県民に対して、誠意を持った対応を行うことは、何よりも重要であろうと考えます。
そこで、サッカースタジアム事業費における寄附金の増加分については、スタジアムの機能拡充やサッカー振興に充てるべきではないかと考えますが、
地域政策局長の御所見をお伺いします。
71:
◯答弁(
地域政策局長) サッカースタジアム等の整備における建設資金の確保についは、令和元年5月に公表した基本方針において、幅広く民間企業や個人からスタジアム建設のための寄附を募るとともに、国の交付金などにより資金の確保を図った上で、なお不足する部分について、県及び広島市が協力して資金確保を行うこととしたところです。
寄附募集に当たり、スタジアム建設のためと使途を限定し、ふるさと納税制度等を活用した結果、当初、63億円を目標としていた寄附金額は、経済界からの力強い御協力や個人の方々からの応援により、現在、約75億円となっており、改めて、経済界や県民の皆様の期待が非常に大きいものと受け止めているところです。
こうした方々の御期待に応えるためにも、広島の新たなシンボルとして、世界に誇れるサッカースタジアムを整備し、子供から大人まで、幅広い世代が楽しめるスタジアムパークとなるよう、引き続き、広島市と連携して取り組んでまいります。
72:
◯要望・
質疑(山木委員) 具体的な御答弁をいただけなかったと思いますけれども、予定額が集まった前と後で、特に募集のスタンスを変えることなく同じように行っていますが、寄附する方の思いにも変化が生じる可能性があります。今後、寄附を求めるときには、より分かりやすい説明を加える努力をするべきと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
質問の第3ですが、県内産業の振興に向けた環境整備についてお伺いします。
新型コロナの影響に加え、ウクライナ情勢などを背景とした物価高騰により世界中の経済に混乱が生じております。特に、我が国では、電力価格の高騰が顕著であり、本県経済も同様に、一般家庭はもちろん、製造業を中心とした産業にも大きな負担がかかっております。また、円安も同時に進行しており、デジタル化の急速な進展やカーボンニュートラルのために必要な社会経済システムの変革など、私たちを取り巻く環境は新たな局面を迎えております。これらの変化をチャンスと捉え、今こそ県外からの企業誘致や県内企業の投資促進など、県内産業の振興に向けて、危機感を持って対応していかねばならないと思います。
企業が工場などの立地を検討する際に重視する点は様々ありますが、電力や水などの社会インフラが最も重要であると言われております。今後、地域間の競争がさらに激しくなっていく中、いかに安く電力と水を供給できるかが、地域産業の育成を左右するのではないでしょうか。新型コロナや物価高といった難局を乗り越えるため、あらゆる手段を尽くして、企業に対して安く電力、水を供給できる体制をつくっていくべきだと考えます。
その中でも、特に安価に電力を供給する仕組みについてお伺いします。例えば、富山県では、北陸電力との連携協定を結び、富山未来投資応援電気料金メニューを創設しています。本社機能等の移転拡充施設の整備、工場の新増設を行った企業に対し、1キロワット当たり300円を上限に、1年間電気料金を割引しています。広島県においても、県外からの企業誘致や県内企業の投資促進のため、企業に対し電力価格を優遇することなどにより、安価に電力を供給する仕組みを検討すべきではないかと考えますが、
商工労働局長の御所見をお伺いします。
73:
◯答弁(
商工労働局長) 富山県の制度については、本社機能等を移転、拡充する企業、設備投資、工場新増設等を行う企業を対象に、県営水力発電所で発電する電力を活用し減免を行っているもので、県営の発電所を持たない本県では、富山県と同様の手法で安価に電力を供給することは困難と考えております。
一方で、本県においては、建物や設備投資のほか、オフィス賃借料や通信料など、様々な経費を対象とした全国トップレベルの充実した企業立地助成制度について、不断の見直しを行っているところであり、委員御指摘の視点も踏まえ、企業ニーズや費用対効果等を勘案しながら、研究、検討を行ってまいりたいと考えております。
74:
◯質疑(山木委員) 県独自の電源を持てればいいという思いもありますが、県のエネルギー供給に当たり、国内でお金を循環させる仕組みをつくることも重要ではないかと考えております。日本のエネルギー自給率は12.1%と他の先進国と比べて低い水準にあります。国内にエネルギー資源がほとんどなく、石油、石炭、液化天然ガスなどの化石燃料は外国からの輸入に大きく依存しております。また、再生可能エネルギーについても、例えば、太陽光発電に必要なパネルなどの多くを海外の製造に依存しています。さらに、太陽光発電のように、自然条件に左右される、安定供給が難しいエネルギーを活用するためには、蓄電池技術が欠かせませんが、電池に不可欠なレアメタルについても、ほぼ100%輸入に頼っております。このままでは、エネルギーを使えば使うほど海外にお金が流れていきます。さらに、海外の太陽光パネルが売れることで、海外企業の技術力がどんどん高まり、国内企業との技術差は広がる一方です。
また、海外にエネルギーを依存していると、世界のどこかで問題が起こったとき、それが、我が国から遠く離れていても大きな影響を受けることがあるため、エネルギーの安定供給の面でも課題があります。そのため、私は国内でお金を循環できるような電力への投資がますます重要になると考えております。
例えば、令和2年2月定例会で、小水力発電の推進について質問させていただきましたが、県内企業と連携して、広島県の地形を生かした様々な小水力発電の開発を推進していく必要性は一層高まっているものと考えます。また、原子力の分野でも、近年では、より安全性の高い小型モジュール炉の開発が進められており、小型で熱を外に逃がしやすい空冷式構造で、事故時に自然冷却が可能とされております。安全性の確保は大前提ですが、あらゆる可能性を排除せず、検討する必要があるのではないかと思います。
そこで、小水力発電等の国内でお金を循環するような電力に投資するなど、将来を見据え、エネルギー自給率向上に向けて、県として大胆な施策を展開するべきであると考えますが、環境県民局長の御所見をお伺いします。
75:
◯答弁(環境県民局長) 2050年ネット・ゼロカーボン社会の実現に向けて、県においては新たに再生可能エネルギーの導入目標を設定するため、国の再エネ導入目標を踏まえつつ、自然公園の区域を除外するなど、一定の条件を考慮して本県の再エネ導入のポテンシャルを調査したところです。調査の結果、2030年度までに、太陽光、バイオマス、小水力発電の3分野で合計650メガワットの増加を目指すこととしており、このうち太陽光発電が商業ビルの屋上や家屋の屋根など様々な場所に設置が可能なことから、約8割を占めております。
このため、太陽光発電については、中小企業を対象とした再エネ導入や設備更新等につながる診断、相談などの伴走支援、住宅メーカー等と連携した家庭向けのスマートハウスの普及啓発、県有施設への再エネ設備の率先導入など、国の様々な支援制度等も活用しながら対策を充実強化することとしております。また、小水力発電については、今年度、導入に積極的な県内事業者の情報を複数把握し、関係市町と協議の場を設定することにより、継続して検討が進んでいるところです。
引き続き、県民や事業者の皆様、市町など多様な主体と連携、協働し、地域の特性を生かした再生可能エネルギーの導入拡大を支援し、エネルギー自給率の向上や環境と地域経済の好循環につなげてまいります。
76:
◯要望・
質疑(山木委員) 小水力発電の件は実際に期待しております。また、太陽光発電が8割ということですけれども、何とか国産の太陽光パネルを使っていけるような方向性で検討が進めばいいと思っておりますので、国と協議しながらよろしくお願いします。
質問の第4ですが、水資源を守るための取組についてお伺いします。
日本に暮らす私たちは、飲み水に困ることがほとんどなく日々生活しております。一方で世界に目を向けると、現在、世界で約9億人弱が安全な水を利用できない状況にあるとされており、SDGsのゴールの一つにも、安全な水とトイレを世界中にが掲げられております。また、海水が蒸発して雨となり、淡水が生まれる水循環が人口増加や地球温暖化などの要因により、円滑に進まなくなり、今後さらに水問題が深刻化すると予想されております。
林野庁の外国資本による森林取得に関する調査によると、平成18~令和3年に、全国で合計303件、2,614ヘクタールもの森林が外国資本によって取得されております。これは、マツダスタジアム約733個分ですが、外国の資本による森林買収の目的は明らかではなく、表面的には資産保有などとしていますが、水の取得のための水源林買収の可能性があり、今後世界的に水が逼迫すると言われている中で、外国資本が我が国の豊かな水資源を獲得し、利益追求によって森林資源が破壊されたり、水資源が枯渇されたりすることがあってはなりません。
この調査において、広島県内の土地が取得された事例はまだありませんが、今のうちに、条例の制定や税の導入など、貴重な水資源を守るための一定のルールづくりが必要ではないでしょうか。例えば、北海道など20道府県では、水源としての森林を保全するため、土地取引の届出を義務づける水資源の保全に関する条例を制定しております。また、山梨県では、地下水の採取や製品化する行為に課税を検討しているようです。
そこで、本県としても貴重な水資源を守るため、まずは、水資源保全に関する条例の制定を進めるべきと考えますが、農林水産局長の御所見をお伺いします。
77:
◯答弁(農林水産局長) 貴重な水資源を守るためには、水源涵養機能をはじめとする公益的機能を有する森林の保全が重要であると考えており、森林法に基づく伐採届出制度や開発許可制度に加え、特に重要な河川上流部などを水源涵養保安林に指定することにより、森林の伐採や開発などを規制しております。こうした制度を森林所有者に対して適切に運用するため、平成24年度の森林法改正において、森林の売買や相続などが生じた場合に市町への届出を義務づけることで、所有者の異動を把握する仕組みが整えられたところです。
一方で、他道府県において制定している水資源の保全に関する条例は、土地の取引自体を制限するものではなく、売買等に係る事前の届出を義務づける内容です。
本県としては、公益的機能を有する森林の保全に引き続き努めるとともに、地下水の利用などによる水資源の枯渇の懸念に対しては、国の動向や条例を制定している他の都道府県の状況を注視しつつ、必要に応じて関係部局が連携しながら、貴重な水資源を守ってまいります。
78:
◯要望・
質疑(山木委員) 水資源の保全に努めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
質問の第5は、CO2を活用した新たなビジネスの創出についてお伺いします。
CO2は地球温暖化を引き起こす原因とされ、政府はCO2を含む温室効果ガスの排出量2030年度において、2013年度比46%削減を目指すとされております。厄介な存在として扱われているCO2ですが、実は工夫次第で、農業に役立てることができます。空気中のCO2濃度が上昇すると、光合成速度が増加し、植物の成長が進みます。人間にとって厄介でも、植物にとっては、光合成を行う上でなくてはならない存在です。
この仕組みを活用し、CO2を野菜の収穫に役立てる試みがあります。例えば、オランダの施設園芸の温室には、天然ガスを利用した大型発電設備が設置され、発電で発生する熱によって温室を温め、発電の際に出たCO2をパイプで温室内に送り込みます。施設内のCO2濃度を通常より2、3倍高くすることで、光合成が促され、収穫量が20~40%増えると、研究機関による実証実験でも認められております。
また、本県においても、大崎上島町にある、国の革新的低炭素石炭火力発電の実証実験研究施設である、大崎クールジェンで、石炭火力から回収したCO2を液化輸送し、世羅町のトマト菜園に運び、トマトの栽培に役立てるという国内初の取組が行われております。
そこで、これらのCO2を農業で有効活用する取組を、現在行っているスマート農業の取組などと掛け合わせ、新たなビジネスを創出していくべきと考えますが、現在、そのような取組、研究を実施されているのか、また、今後実施する予定があるのか、農林水産局長の御所見をお伺いします。
79:
◯答弁(農林水産局長) 本県における農業分野へのCO2の活用については、収穫量を増加させる環境制御型のスマート農業技術として、トマトやイチゴなどの施設園芸において利用拡大が進んできております。施設内のCO2濃度を高めるため、一般的には、農業者自らが発生装置を設置し、ガスや灯油などを燃焼させてCO2を発生させておりますが、県外においては、工場から発生するCO2を隣接する植物工場に直接送り込んでいる事例があるほか、県内においては、大崎上島町の発電施設で発生するCO2を世羅町のトマト団地に輸送し、利用する取組が試験的に行われているところです。
このように、企業が排出するCO2を農業に利用することは、カーボンリサイクルの観点から社会ニーズに応えるものと考えておりますが、その実現には、供給先を安定的に確保することや、回収から輸送、貯蔵にかかるコストなどの課題を解決する必要がございます。
そのため、農業分野での需要拡大に向け、CO2利用技術がまだ確立していないレモンについて、令和2年度から試験研究を行っているところであり、今後も様々な品目で利用が広がるよう調査や研究を行うことにより、企業と連携した取組にもつなげてまいりたいと考えております。
80:
◯要望・
質疑(山木委員) CO2が厄介者ではなく、価値があるという未来になればいいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
セメント産業においても、CO2の有効活用が進んでおり、コンクリートの製造過程でCO2を閉じ込め、排出削減につなげるという研究が行われております。例えば、今月末に旧市民球場跡地で開業するひろしまゲートパークプラザでは、製造過程でCO2を閉じ込めたコンクリート製のベンチが48基設置される予定です。約2トンのCO2排出削減効果があり、これは杉の木約142本が1年間に吸収するCO2量に相当するとのことです。また、通常のコンクリートに比べ、コストは割高ですが、同等の強度を維持しています。
県としても、カーボンリサイクルの観点から、こういった取組をいち早く積極的に支援していると伺っておりますが、セメント産業におけるCO2の活用に関して、これまでどのような支援を行ってきたのか、また、今後どのように取り組んでいかれるのか、
商工労働局長にお伺いします。
81:
◯答弁(
商工労働局長) コンクリート・セメント分野は、日米欧を中心に、スタートアップを含め、カーボンリサイクル技術の研究開発、実証が本格化しており、将来的に普及が期待される、県としても注力している分野です。現在、県内では、国が大崎上島に整備しているカーボンリサイクル実証研究拠点において、用途拡大に向けた工事現場におけるコンクリート製造技術や防錆性能に係る技術開発が実施されており、今年度スタートした県独自の支援制度、広島カーボン・サーキュラー・プロジェクトにおいても、製紙工程で生じる炭酸カルシウムを活用したカーボンリサイクルコンクリートの開発や、コンクリートにCO2を吸収させる炭酸化工程の効率化を図る流体力学的解決法の開発を支援しているところです。
また、製造コストの削減に向けては、技術開発はもとより、原料となる安価なCO2の確保も重要であることから、多様なCO2排出事業者と活用事業者が効率よく連携できるよう、産学官による協議会、通称CHANCEを通じたマッチング支援を行っております。
委員御指摘のひろしまゲートパークプラザのベンチは、これらの県独自の支援制度やCHANCEを通じたマッチング支援を受けている事業者が、実証研究成果を踏まえ、県内製造業者を通じ、製造、設置するものです。加えて、これらの製品の普及には、建築物の基礎や主要構造部等への導入に必要な国の規格認定が鍵となることから、カーボンリサイクル技術を活用した製品を積極的に採用するよう、国に働きかけているところです。
今後も、引き続き、こうした取組を進め、コンクリート・セメント分野でのCO2活用の早期社会実装を図ってまいります。
82:
◯要望・
質疑(山木委員) 御答弁いただいた農業やセメント産業の分野のみならず、あらゆる分野でCO2を有効活用し、新たなビジネス、産業を創出していただくよう要望し、次の質問に移ります。
質問の第6は、海外の有力企業の生産拠点誘致についてお伺いします。
海外の有力企業の生産拠点を誘致することは、本県の今後の経済発展に欠かせないことと考えております。例えば、台湾の企業を積極的に誘致する取組をしてはいかがでしょうか。台湾は世界経済において重要な役割を担っております。電子工業、情報通信、化学工業などの製造業に強みがあり、特に半導体については、受託製造分野で世界の6割のシェアを占めております。
熊本県の菊陽町では、1年前まで更地だった場所で20台近いクレーンによって工場の建設が進んでおります。台湾の世界的な半導体メーカー、TSMCの進出が決まり、初期投資だけで1兆円を投じる予定です。進出による熊本県内の経済波及効果は、10年間で4兆円と試算されております。既に、関連企業の進出が過去に例を見ないほど増えており、令和3年度に熊本県に進出した企業は、過去最多の59件、半導体関連が、前年度の3倍以上の22件でした。周辺の地価は急上昇しており、昨年9月に国土交通省が発表した基準地価では、菊陽町の工業用地の上昇率31.6%は全国1位の伸び率となっております。また、TSMCの従業員は1,700人を予定しており、そのうちの約700人を新卒、中途で採用する予定とのことです。
台湾企業の海外進出の背景の一つには、中国による軍事的威嚇のエスカレートや深まる米中対立があります。今後も、有事に備え、台湾企業が海外に生産拠点を移す動きが予想されます。
そこで、台湾などの海外の有力企業の生産拠点を本県に誘致する取組を進めていくべきと考えますが、
商工労働局長の御所見をお伺いします。
83:
◯答弁(
商工労働局長) 海外企業の誘致や事業拡大に向けた投資促進については、県経済のさらなる発展のほか、県内企業が海外企業の持つ技術やノウハウの導入等により、新たな事業展開を行うなどの効果が期待できると考えております。
このため、これまでも世界的な半導体メーカーであるマイクロンの対日投資の拡大や、フィンランドのフードデリバリーのウォルト、ベトナムIT大手のFPTテクノなど外資系企業の誘致を実現してきたところです。
引き続き、台湾を含めた外資系企業の誘致や投資促進を積極的に行ってまいります。
84:
◯要望・
質疑(山木委員) 積極的な取組をよろしくお願いします。
質問の第7は、海外への修学旅行を希望する生徒への支援についてお伺いします。
本県教育委員会では、高等学校段階で毎年1,000人以上の生徒が海外に留学することを目指して、小学校段階からの系統的な異文化間協働活動を推進され、これまで全ての県立学校で海外の学校と姉妹提携を結ぶなど、国際交流の活性化を図ってこられました。その一環として、コロナ禍前の平成31年には、県立学校の31校が修学旅行で海外を訪れておりましたが、新型コロナの影響により、この2年間は海外渡航が制限され、姉妹校への修学旅行は全てストップしております。昨年10月以降、海外渡航に係る水際対策が大幅に緩和されたことに伴い、今後は海外への修学旅行が再び増加してくるのではないかと期待しているところです。
修学旅行で海外へ行き、直接異文化と触れ合うことは、一生を通しての貴重な経験であり、後に留学を志すきっかけにもなります。国際交流活性化のために、修学旅行で海外を訪れる学校について、コロナ禍前を上回る水準まで伸ばしていく必要があるものと考えます。JTB総合研究所の調査によると、今年の海外旅行における1人当たりの平均消費額は、コロナ前の2019年と比べて、24.3%も増える見通しとのことです。円安や物価高の進行により、コロナ前と比べて海外への修学旅行にかかる費用も大幅に増加することが予想されます。
そこで、海外への修学旅行を希望しても、経済的な問題により行くことができない生徒に対して支援が必要であると考えますが、教育長の御所見をお伺いします。
85:
◯答弁(教育長) 修学旅行は、生徒が平素と異なる生活環境で見聞を広め、集団生活の在り方や公衆道徳などについて体験を積むなど、他の教育活動では得られない教育的価値を実現するものと認識しております。また、県立学校の修学旅行の費用については、保護者の負担に配慮した適切な額とし、保護者の十分な理解を得るよう、各学校に周知しているところです。
これまでも、経済的に困難な世帯には、授業料以外の教育費を支援するために、海外への修学旅行の費用にも活用できる高校生等奨学給付金を実施しております。また、給付の対象とならない世帯については、高等学校等奨学金の貸付けにより支援を行うこととしており、この奨学金については、令和5年度から所得要件を緩和するなどの改善を行ったところです。
今後とも、高等学校等への入学前の段階から経済的支援制度について生徒や保護者に一層の周知を図るとともに、制度が適切に活用されるよう、取り組んでまいります。
86:
◯要望・
質疑(山木委員) 希望する方が皆、修学旅行、海外に行けるような状況になればいいと思っておりますので、しっかりとよろしくお願いします。
質問の第8は、特別非常勤講師の活用についてお伺いします。
特別非常勤講師は、地域の人材や多様な専門分野の社会人を学校現場に迎え入れることにより、学校教育の多様化への対応や、その活性化を図るため、教員免許を有しない非常勤講師を登用し、教科の領域の一部を担任させることができる制度です。全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校において、語学やスポーツ、文化活動など様々な専門分野の方々が活躍されています。子供の多様な視点を育む上で、専門分野の社会人の指導を受け、貴重な経験に触れることは非常に有効であると思います。
そこで、本県における特別非常勤講師の活用状況について、教育長にお伺いします。また、活用に当たっての課題や課題解決に向けた取組について、併せて教育長にお伺いします。
87:
◯答弁(教育長) 特別非常勤講師制度について、本県では、教育内容の多様化、活性化を図ることを目的として、積極的な活用に努めているところです。具体的には、地元の専門家による地域学習や、企業経営者によるビジネス講話など年1回の活用が多く、医師や看護師による看護に係る専門教科の指導など年間を通した活用事例もあり、その分野の専門家から直接指導を受けることができる貴重な機会になっております。
この制度では、高い専門性や見識と併せて、教育活動に理解のある指導者の確保が重要となりますが、地域によっては、求める分野の人材が見つかりにくいといった課題もあり、各学校では、地元やPTAとのつながりなどを活用して、人材に関する情報を集めているところです。
県教育委員会としては、引き続き、リーフレット等を活用して、特別非常勤講師制度の理解促進に努めるとともに、市町教育委員会等の求めに応じて、人材情報を提供するなど、各学校における人材の確保を支援してまいります。
88:
◯要望(山木委員) 教職員免許があるなしにかかわらず、本当に有用な人材が教壇に立てるということはすばらしいことと思いますので、しっかりと有効活用していただければと思っております。以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
(森川委員)
89:
◯要望・
質疑(森川委員) 皆さん、こんにちは。自民議連の森川です。総括審査も3日目を迎え、3日目の最終質問者ということです。お疲れだと思いますけれども、もう20分間だけお付き合いいただければと思います。
質問に入る前に、先ほど、山木委員に、大崎上島のCO2の研究拠点について触れていただきました。これからどんどん進んでいくと思いますので、私が答弁するべきではないのですけれども、ありがとうございました。また、犬童委員の
質疑があり、クレアラインを竹原市まで延長してほしいという要望をしていただき、ありがとうございました。ぜひ、私からもお願いしたいと思いますが、一つ否定したいと思います。とびしま海道は、今、大崎下島から岡村島まで、橋が架かっているのですけれども、そこから大三島に向けて橋をお願いしますという愛媛県の領域の話をされましたが、それより先に、広島県は、岡村島から大崎上島に向けた計画がありますので、御承知おきいただけたらと思います。私はそれを先に望んでおりますので、土木建築局長、よろしくお願いします。
以上を前置きにして、質問に入らせていただきます。
今日はG7広島サミットの経済効果の県内全域への波及について、サミットシリーズということで、6点質問したいと思っております。
早いもので、今日は3月1日で、G7広島サミットまで、残り79日となりました。私は、G7広島サミットは、広島県から平和、そして、県内の魅力をしっかり国外に発信できる、すばらしいサミットになると、大きな期待をしております。しかしながら、若干心配なところも実はあります。それは、前回開催されました伊勢志摩サミットにおいて、三重県内への経済効果として約483億円あったと公表されておりますけれども、一方で、サミットの1年後ににぎわいが続いているのは、会場となった賢島の周辺と伊勢神宮だけで、経済効果も一部地域に限定されているといった声もあると報道されたようです。
先日の参考人意見聴取において、名古屋外国語大学の高瀬教授から、広島のイメージの多様化として、数千人規模のジャーナリストや関係者が、広島について発信し、県内各地に波及効果を及ぼすとのお話がありました。このようなサミットの意義を改めて認識し、先ほど紹介しました伊勢志摩サミットのときのような声が上がらないように、ぜひとも、広島サミットの経済効果が県内全域に波及するよう取り組んでいただきたいと思っております。
そこで、広島サミットを通じ、どのようにして、県内23市町の魅力を隅々まで発信し、経済効果が及ぶように取り組まれようとしているのか、サミットシリーズ第1弾として質問したいと思います。
魅力発信の取組について、昨年7月の広島サミット県民会議設置からこの間のサミットに向けた取組の中で、どのように広島の魅力発信に取り組んできたのか、また、その成果は現れているのか、
地域政策局長にお伺いします。
90:
◯答弁(
地域政策局長) 広島サミット県民会議においては、これまでの間、ホームページやSNSによる情報発信に加え、海外メディア等を招聘したプレスツアーを実施し、本県の強みであるものづくり産業や、広島ならではの食を発信するとともに、G7国の在外日本大使館を通じて、県産品や県内の観光地を紹介するなど、広島の魅力発信に取り組んできたところです。
これらの取組は、まだ、緒に就いたばかりであり、観光客の増加や県産品の消費拡大といった具体的な効果の発現と言えるまでには至っておりませんが、サミット後の来訪者の増加などに向けて、広島の魅力発信に係る取組を着実に進めていく必要があると考えております。
こうした考えの下、引き続き、国内外から注目が集まる絶好の機会を生かし、県内各地に存在する広島のおいしい山の幸や海の幸、個性あふれる伝統文化や観光資源など、本県の多様な魅力や価値を様々な主体や手法を用いながら、積極的に発信してまいります。
91:
◯質疑(森川委員) 答弁にありましたプレスツアーですけれども、これは国際平和・観光振興対策特別委員会で、私も意見を述べたところですが、回数も限られており、取材したいところしか行かないという事業だと思います。2か所行く市町もあれば、全く行かない市町もあるわけです。そういうことであれば、来ない市町にとっては、何でうちに来てくれないのだろうという思いになるわけです。このプレスツアーは県民会議が実施する事業だと思うのですけれども、県内のすごく頑張っているところに注目して行ったのは、私も賛同するところですが、来ていない市町は非常に寂しい思いをしていると思います。
そこで、特定の地域に限定せず、県内全域の様々な魅力や価値を世界に向けて発信するために、今後どのように取り組もうとされているのか、
地域政策局長にお伺いします。
92:
◯答弁(
地域政策局長) 委員から御指摘のありましたプレスツアーについてお話しします。
広島サミットを契機に実施するプレスツアーについては、在日の海外メディアを対象に、県民会議が主催するツアーとして3回、海外の観光関係メディアを対象に、県観光連盟が主催するツアーが1回、また、国内の首都圏メディアを対象に、県が主催するツアーとして7回を計画し、それぞれターゲットやテーマを設定しながら、取り組んでいるところです。
一方で、こうしたプレスツアーのみでは発信し尽くせない県内各地の食の魅力や、各地域の知っていただきたい価値などについて、様々な手法を活用して発信していくこととしております。具体的には、これまで、サミットの公式プログラムにおいて広島県産の食材や工芸品などが一つでも多く活用されるよう、国に対する働きかけを行うとともに、政令指定都市など全国31か所において、ひろしまブランドショップTAUの外販機能を活用した、広島フェアの開催などに取り組んできたところです。
これらに加え、今後は、県民会議が主催する会議や交流会において、県内各地の食材等を活用した料理を提供することや、今月末から5月上旬までの間、旧広島市民球場跡地イベント広場の商業施設であるシミントひろしまに期間限定ショップを開設し、県内市町のPRブースを設け、市町にも参画してもらいながら、県内各地の魅力や価値を広く発信してまいりたいと考えております。
93:
◯質疑(森川委員) いろいろな県内の観光地、産業、文化などを幅広く発信する広島情報センターの設置を検討しているということです。伊勢志摩サミットの際には三重情報館が設置されて、大型ディスプレーを使った映像や展示物など、伝統工芸をはじめ、様々な実演等を行い、来場者と出演者が双方向で交流する場が提供されたと聞いております。これは昨日、玉重委員から、ぜひ、神楽をメディアに見てもらいたいという
質疑もありました。私も、広島の伝統芸能をしっかりメディアに取材していただいて、世界に発信していただきたいと思っています。
広島情報センターは仮称ではありますけれども、おそらく、外務省とのいろいろなやり取りもあるのだろうと思いますが、ぜひとも23市町の関係者が自分たちの地域の魅力を自らしっかり発信して、来場した海外メディアの人たちとしっかり交流できる場を生かしていただきたいと思うわけです。
そこで、今後について、どのように考えておられるのか、
地域政策局長にお伺いします。
94:
◯答弁(
地域政策局長) 委員御指摘のとおり、県内各地の様々な魅力を国内外の多くの報道関係者に理解していただき、訴求力の高い報道や記事に確実につなげていくためには、実際に見る、触れる、あるいは、味わい、感じていただくことが重要であると考えております。
このため、サミット開催期間を中心に設置を予定している広島情報センターにおいては、被爆の惨状から現在の発展につなげた復興の道のりや、自然、アクティビティー、歴史、文化など多様な観光地の魅力、脱炭素社会の実現といった世界的課題に挑戦している新たな産業分野に関する展示を行うほか、日本や広島らしさを感じられる実演、県内各地の食材を活用したメニューの試食など、国内外の報道の方々との交流が図られるような工夫を行いながら、県内各地の魅力を発信してまいります。
95:
◯質疑(森川委員) 次に、第4弾として広島サミットを契機とした地域の魅力発信事業について伺います。
今年度も予算が組まれていますが、来年度にかけて、アフターサミットの誘致につなげるため、都市圏などへ本県の多様な魅力の発信を行うとされておりますけれども、サミット開催地や要人の訪れた名所という切り口では、伊勢志摩サミットと同様に、広島市と宮島だけといった、既に集客力のある地域に効果が偏るおそれがあると思います。
地域の魅力発信事業について、県内23市町に効果が波及するよう、どのような点を工夫して取り組もうとしているのか、
商工労働局長にお伺いします。
96:
◯答弁(
商工労働局長) 広島サミットを契機とした地域の魅力発信事業については、サミット開催地である本県に対する期待と注目を高める取組や、サミット関係者が訪れた場所、会食等で提供された食材などを活用した情報発信を行うとともに、サミット開催によって注目度が高まるこの機会を最大限活用するための工夫を凝らしながら、県内全域の旅や食などの魅力を発信していくこととしております。
具体的には、県内の様々な地域で食や観光の魅力を取材してもらう国内メディア向けプレスツアーの実施、ひろしまブランドショップTAUにおける比婆牛や地魚、40以上の酒蔵を有する県内各地の多彩な日本酒など食の魅力をPRするイベントの開催、テレビやウェブ媒体、雑誌などによる地魚、レモンなどの食やフィッシングを楽しめるアクティビティー、三次市のワインと庄原市のチーズを組み合わせたツアー等の情報発信などにより、首都圏をはじめとする多くの方々に、県内各地域の魅力に触れていただくための工夫を行っていくこととしております。
さらに、先月策定したひろしま観光立県推進基本計画に基づき、市町や地域DMO、観光関連事業者等との連携体制をより一層強化して、広島サミット開催後も誘客効果が持続できるよう、観光誘客に向けた様々な取組をオール広島で、強力に推進してまいりたいと考えております。
97:
◯要望・
質疑(森川委員) もう時間がなくなりましたので、第5弾として、広島サミットを契機とした県産の農林水産物の魅力発信事業について、農林水産局長にお聞きをする予定でしたけれども、昨日、玉重委員から県内にはおいしいものがたくさんありますという話もありました。玉重委員の質問にしっかり答えていただきますよう要望しまして、サミットシリーズ最後の質問として、広島サミットを成功させ、その効果を県内全域に波及させることで本県の持続的な発展につなげていくことについて、
知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
98:
◯答弁(
知事) ロシアによるウクライナ侵攻や核による威嚇、感染症対応や食料、エネルギー問題など、世界規模の課題が山積する中、5月の広島サミットは、国際社会にとって極めて重要な国際会議となります。
私としては、被爆地での開催となるサミットが、核兵器のない世界に向けた国際的な機運を高める転換点となるよう、政府へ働きかけてまいりますとともに、国内外の人々に対し、世界平和を希求する機運の醸成につながる取組を進めていきたいと考えています。
また、広島サミットは、世界から注目が集まる絶好の機会であり、国際平和文化都市としての広島の認知度向上に加え、県内各地にある、様々な魅力や価値を国内外に向けて、積極的に発信していかなければならないと認識しております。
こうした認識の下で、サミットに関する報道とともに、広島の情報が世界中に流れ、広島への注目度が上昇する機会を捉えて県内の農林水産物の活用、またそれを使った食の国内外への発信、またG7のみならず、アジア地域に向けた観光プロモーションを展開し、インバウンド誘客に取り組み、サミットの開催効果を県内全域に波及、持続させて、県全体の発展につなげてまいりたいと考えております。
99:
◯要望・意見(森川委員) ぜひ、県内23市町の皆さんが、山間部に住んでいても、島嶼部に住んでいても、広島サミットがあってよかったと言われるようなサミットにしていただきたいと思います。
最後に、教育委員会における官製談合防止法違反等の問題について、一言申し上げて終わりたいと思います。
教育長は、民間企業の出身で、従来の枠組みにとらわれない柔軟な発想、また、政策で教育改革に取り組み、成果も上げてこられました。一方で、この
予算特別委員会において、我が会派の畑石委員からも厳しく追及、指摘されたところですが、教育委員会は、公平性、公正性が必要とされる公の機関であり、その中でも、教育長は、子供たちの教育を担う学校現場をつかさどる立場として、県民から高いモラルが求められていることを自覚する必要があります。先日の調査報告書の公表を区切りとし、教育長は、一連の問題の責任を取り、給料の一部を自主返納されていますが、これで終わったわけではありません。
また、県立学校の図書館リニューアルに際し、赤木氏の指示により、赤木氏自身の著書を含めて、1万3,000冊の本が購入されるとともに、11万冊を超える蔵書が廃棄された件についても、我が会派として、その状況を報告するよう求めており、こうした点についても、早期に明らかにしていただきたいと思います。
さらに、我々議員、そして県民からも、教育長の進退を問う厳しい意見が根強くあることは、肝に銘じていただきたいと思います。今回の事案を教訓として、法令遵守はもちろんのこと、失われた県民からの信頼を回復するために、まずは、教育長自らが、意識改革と行動変容にしっかりと取り組み、教育委員会において公平性、公正性が確保され、県民に信頼される組織に生まれ変わる必要があります。
今後、県議会として、県政のチェック機関として、教育委員会の取組を厳しく監視してまいります。本県教育の1日も早い信頼回復を強く要請し、
質疑を終わります。ありがとうございました。
(4) 閉会 午後3時5分
発言が指定されていません。 広島県議会 ↑ 本文の先頭へ...